
国語の教科書に載っている文章を読んで受け取る感じ方は人によってさまざまです。お子さんによっては、不安や怒りを強く感じてしまうことがあります。
Aちゃんはもとより人が死ぬ場面が苦手で、アニメでも戦闘ものは見ることができません。教科書で戦争のお話が出てきたときは、数カ月間精神的に不安定になり、薬物療法が必要になるほどの事態になってしまいました。B君は民話や昔話の残酷なオチが納得できず、「この作者の人間性を疑う!」といって拒否してしまいました。C君は王様が動物を殺す場面で、「動物虐待だ!この王様を逮捕するべきだ!!」と許容できず、お話の全体像に目がいかないようです。Dちゃんはファンタジーのお話で、チョウが女の子に化けているシーンが理解できず、もやもやしてパニックになり真っ青になって吐いてしまいました。
戦争のお話なら、苦手な子がいるかもしれないと想像できるかもしれませんが、昔話にそこまで真剣に怒りの感情にとらわれたり、ファンタジーが理解できずに気持ち悪くなったりするなんてと、保護者や担任の先生も困惑してしまうかもしれません。でも、その子にとっては切実な感情なのです。
お子さんによっては、お話の構成や、作者の意図などを丁寧に図解などを用いて説明することで、ふに落ちてのみ込めることもあります。でもどんなに丁寧に説明しても、本人の感情は変えられないこともあります。それで不調になる場合は、その単元の国語の時間は、別室で他のことをするなどして、単元をスキップするしかないときもあります。毎年のようにある戦争のお話を毎回スキップするのはどうなのか?と悩んでしまう保護者もいました。
それでも、そんなタイプのお子さんも成長するにつれて、世の中のいろんな出来事に触れたり、他者と自分の感情を切り離せるようになったりして、いつしか受け入れられるようになることが多いです。今、この時のお子さんの不安や怒りの感情を否定せず周囲に受け止めてもらうことも、ネガティブな感情と付き合うために必要な経験かと思います。