
発達上の特性がある子どもや重い障がいを抱えた子どもを受け入れる福祉施設「彩(いろ)の木」(松本市梓川倭)が13日、開設5周年を記念して、オルゴールのコンサートを開いた。会場の梓川公民館に利用者や家族ら約80人が集まり、柔らかく響く音色を楽しんだ。
彩の木は2020年開設。未就学児の発達支援、障がいがある児童や生徒の放課後デイサービスを提供している。昨年、手回しオルゴールを使った療育を導入。手応えがあったため、メーカーのフジゲン(同市平田東3)と協力し、今回のコンサートを企画した。
この日は、フジゲンの担当者が1990年代初めに作られた大型ディスクオルゴールを持ち込み、クラシックやジャズ、唱歌の定番20曲余りを演奏した。
家族4人で来た同市島内の犬飼恵理さん(40)は「オルゴールを聴くことはほとんどないし、家族で演奏会に行く機会もないので良かった。(彩の木利用者の)5歳の次男も、手をたたいて楽しんでいた」と喜んでいた。
演奏中に声を出したり歩き回ったりするのも自由。元利用者の降幡宗佑さん(10)と山形村から来た母親は「気兼ねなく参加できてありがたかった。オルゴールは気持ちを穏やかにしてくれる。子どももいつもより静かに座って聴いていた」と笑顔を見せた。
フジゲンは、東京都立北療育医療センター(北区)で10年以上、オルゴールを使った支援活動を続けている。担当の胡桃澤紀彦さん(51)は「オルゴールの音がいい効果をもたらすのは経験的に分かっている。彩の木を定期的に支援できればいい。他の地元施設でもオルゴールの響きを生かしたい」と話す。