
三つの公開制作を通じ表現
松本パルコが2月、井上が3月に相次いで閉店する松本市の中心市街地。活気のない街になってほしくない─というのが、多くの人の願いだろう。
そんな中、街をどうしたいかという市民の声を形にしようという催し「絵に描いた餅を描く」が1月26日、松本市立博物館(大手3)で開かれる。仕掛けるのは、街づくりに関心のある商店主、都市計画家、建築家などでつくる松本都市デザイン学習会だ。
当日は、「曼荼羅(まんだら)まちの要素、つながりを描く」「屏風絵(びょうぶえ)重なるまちのシーンを描く」「メタバースまちを体感する」の三つの公開制作を通じ、街のビジョンを考える。
普通は肯定的には使わない「絵に描いた餅」を、あえてイベント名に使う狙いとは。
“事消費”が重要考える機会提供
松本市立博物館で26日に開かれる「絵に描いた餅を描く」。催しの柱は、三つの公開制作だ。
「曼荼羅(まんだら)まちの要素、つながりを描く」は、開智学校跡地、住む、女鳥羽川、トラムなど9テーマで、守りたいもの、変わるべきもの、新しく創るべきものを紙に描く。
「屏風絵(びょうぶえ)重なるまちのシーンを描く」は、中心市街地の俯瞰(ふかん)写真に、木を描いたり、広場や屋上などの使い方を書き込んだり。
「メタバースまちを体感する」は、3Dの松本都市データを使い、スマートフォンなどでメタバース空間を体験する。以上の三つの手法で、中心市街地のビジョンを表現しようという試みだ。
松本都市デザイン学習会は、イオンモール松本建設が決まった際、街の未来を考えようと10年以上前に発足した。今回は市民目線で中心市街地の今後を考えようと昨年2月、ワークショップを開催。シンポジウムを開くなど活動している。
同学習会メンバーで建築家の山田健一郎さん(61、松本市旭1)は「絵に描いた餅というと実現しないネガティブなイメージだが、それぞれの思いを形にしないと何も始まらない」と力を込める。
買い物などこれまでは物消費が中心だったが、今後はお金だけでなく、時間をどう使うかの“事消費”が重要という。そのために街中にどんな場所、場面があったらいいか、考える機会を提供する。
今回の「絵に描いた餅」は完成後、これまでのワークショップの結果と合わせて「都市デザイン」としてまとめ、市に提出する。
午後2時半~5時半。公開制作の他、4時からは座談会、5時からは懇談会「餅を食べる!」でぜんざいを振る舞う。