フルート奏者坂口実優さん 母の故郷池田町でリサイタル

仮死状態で生まれ、コミュニケーションがちょっと苦手なフルート奏者、坂口実優(みゆ)さん(27、長野市)。小学6年生の時にフルートの音色に魅了され、中学の入学式の日に楽器店に直行した。師に才能を見いだされ、音大を出た後、ソリストとなった。2月8日は母の故郷・池田町でリサイタルを開く。
絶対音感があると分かったのは幼児の頃。一方で話すことが苦手で、発達障害と診断され、つらい思いも重ねた。両親の坂口一延さん(59)、和美さん(59)は「命が助かっただけで幸せ」と、ピアノを学ぶ娘を応援した。やがて気持ちがフルートに向かう。先輩が吹く音色に魅せられた。楽器店で購入しすぐ吹いてみせた。
中学2年の時、世界的フルート奏者・清水和高さんの前で演奏する機会を得た。清水さんは「金の卵」と高く評価。その後5年間は月2回以上、長野から東京の清水さんの家に通ってレッスンを受けた。「親子3人の車旅。私たちも楽しかった」と和美さん。
実優さんは洗足学園音楽大(川崎市)に進み、「早朝から晩まで自主的に練習した」。学外でも清水さんの指導を受け続けた。
2020年、信州に戻ったが、コロナ禍も重なり演奏の場は皆無。そんな頃、県内でイベントなどを手がける中澤裕佳(ひろよし)さん(46)と出会った。「初対面でカノンを吹いてくれて感動した」と中澤さん。すぐに実優さん、両親と4人でプロダクション「ワカプロ」を創設、活動を始めた。
池田町に住む祖父の小林三郎さん(85、池田)は「プロになってびっくり。中澤さんら支えてくれる人のおかげ」と喜ぶ。
同町のリサイタルは、会染の創造館で午後2時開演。ワカプロの自主公演だ。バラードなどのオリジナル4曲、「時代」「シシリエンヌ」など幅広い曲を10曲以上披露する。2千円。中学生以下500円。ワカプロ・中澤さん℡090・4607・6708