人に地球に優しい自然栽培の暮らし 直売所や体験講座開く太田さん

無農薬・無化学肥料の自然栽培、しょうゆやみそは手作りー。体や地球に優しい、丁寧な生活を送る安曇野市の太田光亮(みつあき)さん(51、穂高有明)。以前は、バイクの部品を使った独創的なバイクアートのアーティスト。松本市内にあるみそ蔵に勤務、みその造り方を学びながらの活動だったが、体調を崩した。
「甘酒を飲んだら元気が出た」。驚きは行動につながった。2017年に安曇野市のこうじ店の門をたたき、勤めることに。こうじ造りの技術を学んだ。
自分で造った米とこうじで甘酒をー。自然栽培の道に入り、24年から、直売所をオープン。甘酒豆乳、おむすびなどを販売。2月には、米しょうゆ造りのワークショップを開催、丁寧で豊かな暮らしのお裾分けをする。

体調崩し選んだ道で得た豊かさ

約500平方メートルの田んぼ、そして千平方メートルほどの畑ー。太田光亮さんの暮らしの基盤「ヒカリ農園空の下で」だ。ここで無農薬・無化学肥料の自然栽培を手がけ、米や大豆などを作る。「自分の食べられる分だけ。自給農です」と太田さん。
余った物は加工し、自宅前にある直売所で販売する。昨年3月オープンした太田さんのもう一つの城だ。甘酒を使ったドリンク、米と黒千石大豆のおむすび、ココアの蒸しケーキなどが並ぶ。
太田さんは廃棄バイクの部品を使った立体造形を手がけるアーティストとして活動。収入のためにと2012年、松本市内にあるみそ蔵で働き始めた。二足のわらじで頑張ったが、体調を崩し、食事が取れない状況に。そんな太田さんを助けたのは甘酒だった。
「甘酒だけが喉を通った」と太田さん。心身共に元気になり、「これはすごい!」。すぐに安曇野市にあるこうじ店を訪ねた。体に良いといわれる発酵食品のみそ、こうじの造り方を学んだことが現在につながる。しばらくすると、自分の作った米、こうじで甘酒を造ることが夢になった。
自然栽培を始めたのは、友人の提案があったからだ。稲は手で植え、手で刈り、はぜかけをする|など、昔ながらの農法で頑張る。頼りになるのは友人知人が手伝ってくれる「援農」だ。
栽培した大豆で、納豆造り、豆腐造りの教室を開く。「暮らしの中で自分ができることを多くの人に伝えたい」と太田さん。時間に追われる生活をする人が多い中、太田さんは、手間暇かけた生活をすることを選んだ。その技術を伝え広めることにも喜びを感じている。
小麦、大豆、塩で造られるしょうゆ。グルテンフリーに注目、米が好きだったこともあり、「麦の代わりに米でしょうゆはできないか」と考えるようになった。レシピを探すが、なかなか見つからない。結局、模索しながら技術を磨き、2年ほどかけて独自のレシピを完成させた。「薄口で米の甘みを感じる。おいしい!」
感動を伝えようと、2月11日から、米しょうゆのワークショップを開くことにした。まず、米をいって粉にすることから始める。20~23日にこうじ造りをし、23日にもろみを造り、以後、毎月もろみの天地返しをするなど、1年がかりの長丁場になるという。
鶏が大好きという太田さん。廃鶏を引き取り、ペット、家族として一緒に暮らす。「幸せな一生を過ごしてほしいだけでなく、産卵鶏の裏側を知ってほしい」という思いも強い。直売所には卵を使わないプリンも並ぶ。
援農、直売所で販売するスイーツのレシピを教えてもらう|など、いろいろな人に支えられ、ヒカリ農園はある。「人にも動物にも地球にも優しい暮らしをしたいですね」
ワークショップの参加料は1万円。2月2日までに申し込む。直売所は金~日曜、祝日の午前11時~午後4時。太田さんTEL070・7588・0003