世界王者の夢へ一歩 ベンチプレス始め1年余 松本工業高・轟綾真さん

松本市の松本工業高校1年・轟綾真さん(16、里山辺)は、ベンチプレスの全日本選手権・第26回クラシック部門(1月24~26日、茨城県)のサブジュニア(14~18歳)男子83キロ級で初優勝し、世界選手権の出場権を獲得した。本格的に競技を始めて1年余り。将来の世界王者を目指して一歩目を踏み出す。

強豪集う舞台向け腕磨く

「クラシック」は、体をサポートする専用のウェアを着用せず、自身の力だけで挑むイメージの種目(「エクイップ」はウェア着用)。今回、同級の出場者は轟さんだけで、練習で挙げたことがある120キロを試合で達成し、自己記録を更新するのが目標だった。
1回目の試技で100キロ、2回目で110キロを成功。最終3回目に120キロに挑戦し、重りは挙げたがフォームがわずかに乱れたとされ、「失敗」の判定。公式戦3試合目だった轟さんは「悔しさでいっぱい」と振り返るが、それでも優勝者として5月にノルウェーで開く世界クラシック&エクイップ選手権の出場権が与えられた。

競技を始めたのは、山辺中学校3年時の9月。それまでバスケットボールに取り組んできたが、母・しのぶさんが息子の肩幅の広さや胸板の厚さから「パワー系のスポーツの方が向いているのでは」と推測。
しのぶさんの知り合いのつてで、同競技の元世界王者・鈴木佑輔さん(40)が代表を務めるトレーニングジム「B.A.D」(島内)で体験し、当時の自身の体重とほぼ同じ55キロを挙げ、褒められたのが自信に。以降「重りを挙げたときの達成感」に魅了され、多い時は週5日練習するなど夢中になった。
同世代の強豪が集うと目される世界選手権は、「150キロ以上挙げないと話にならない」というレベルの高さ。轟さんは「競技に出合わせてくれた母に感謝。技術を磨き、大目標の150キロを達成したい」と力を込める。