
松本市の筑摩野中学校の科学技術部は、自作の電池車やエコカーによるモータースポーツ大会に参戦する、県内でも珍しい活動に取り組む。本年度は部員55人(現3年生を含む)のうち「エネラン班」「エコラン班」の延べ15人を中心に挑み、二つの大会で1、2位を占める成果を挙げた。
チームの団結大きな力に
電池車は3大会に出場し、好成績を挙げたのは「2024Ene-1 MOTEGI GP(エネワンモテギグランプリ)」(昨年9月、栃木県)。中学生部門は同部の2台を含む4台がエントリーし、充電式の単3電池40本を動力源とする3輪の車両で、4.8キロのコースを2周してタイムを競った。
エコカーで出場したのは「本田宗一郎杯Hondaエコマイレッジチャレンジ2024」(通称エコラン、昨年10月、同県)。ガソリン1リットル当たりの走行距離を競うレースで、1周約2.4キロのコースを規定の周回数走り、走行後にガソリンの残量を計測した。
中学生クラスは同部の4台を含む10台がエントリーし、優勝車の記録は684.874キロ/リットル。
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電池車、エコカーとも優勝した車両は、中学生を対象に長野高専(長野市)が主体となり取り組む「次世代理系人材育成プログラム」(中谷財団主催)で講師の指導を受け、設計から取り組んだ車だった。
車体に木板を用い、フレームにはプラスチック段ボールを組み合わせるなど工夫した。材料の寸法に少しでも狂いがあると空気抵抗が大きくなるため、緊張の連続だったという。エコカーを運転した宝井佑政さん(2年)は「ゼロから車体を作って臨んだので、優勝はめっちゃうれしかった」。
両大会とも運転技術を習得するため、自動車教習所のコースなどで練習したり、安全確認の手順を身に付けたり。当日のエネルギーマネジメントやチーム(ドライバーとピットクルー)の団結力なども好成績の要因となった。「皆で取り組み、とても達成感を得られた」と現部長の荒木優成さん(2年)。現副部長の土田祥太朗さん(同)は「来年は後輩をサポートしたい」。
同部の部活指導員を務める小笠原信隆さん(48、正蓮寺=松本市寿北3=住職)は「ここで悩んだり失敗したりした経験を次に生かしてほしい」。顧問の浦野真我教諭(30)は「活動を通じ、環境にいいものを作る、使うという意識を持ち続けてもらえれば」と話している。