
生地を延ばしてラグマンの麺を作る参加者
中央アジアの内陸国・キルギス共和国の料理を作って味わう体験イベントが7日、松川村の安曇野ちひろ公園体験交流館で開かれた。同国は親日国で、顔立ちが似ている日本人とは「きょうだいだった」との言い伝えがある。一方、日本人にはなじみの薄い国だが、参加者は「食」を通じて親しみを感じた。催しで作った料理のレシピを紹介する。
「きょうだい」の伝承残る親日国
大北地域や松本市の8人が参加。講師は同村の地域おこし協力隊員で、本紙コラム「風のおと」筆者の岩崎泰子さん(36)。岩崎さんは国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊員として2015年7月から2年5カ月間、同国に赴任した。
岩崎さんが紹介したのは、肉と野菜たっぷりのトマトベースの麺料理「ラグマン」と、宴会の際につまむ揚げパン「ボルソック」。
ラグマンの麺は、うどんに似た手延べ麺。肉(ラム肉など)と色とりどりの野菜を炒めて煮込んでスープを作り、ゆでた麺にかける。参加者は麺の弾力に驚き、「スープは優しい味」と言って味わった。
ボルソックは、発酵させた生地を薄く延ばし、油で揚げたほんのりと甘い一口サイズ。出来上がりを直接テーブルの上に広げるのがキルギス流で、会話をしながらつまんだ。
参加者の本郷麻梨子さん(43、大町市)は「日本の食べ物と似た点もあり、新鮮な体験。自宅でも作りたい」。本郷さんの母・西條あき子さん(73、同市)は「ラグマンの麺は焼きうどんにしてもおいしいかも。ボルソックには白ごまも合いそう」と、自己流のアレンジも考えた。
岩崎さんによるとキルギスではラム肉をよく食べ、味付けは独特な香辛料は使わず、塩やこしょうのシンプルさが特徴という。紅茶を飲みながらコミュニケーションを深める文化は、「信州にも通じるのでは」と話した。
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岩崎さんは「私だからできることを」と考え、昨春に続き、同国の食文化に触れる催しを企画した。「キルギス人と日本人は元々きょうだいで、魚好きが海を渡って日本人になり、肉好きが残ってキルギス人になった」という同国の伝承を紹介し、「今回の食体験を通じ、全く知らない国に興味を持つことが、生活の楽しみにつながればうれしい」と期待した。

【ラグマン】
材料(2人分)
麺(市販のうどんなどで代用)…2食分
肉(ラム肉、牛肉、鶏むね肉など)…200㌘
野菜(大根、玉ネギ、パプリカ、セロリ、
ニンジン、ジャガイモ、インゲンなど)
…………………肉と同量か1.5倍ほど
トマトペースト…………………適量
塩、こしょう ……………………適量
ディル ………………………………適量
サラダ油……………………………適量
作り方
①肉、野菜を食べやすい大きさに切る。
②鍋に油を熱し、肉、野菜の順に炒める。
③②に具材が浸る量の水を加え、野菜が軟らかくなるまで15~20分ほど煮込む。
④トマトペーストと塩、こしょうで味を調える。
⑤麺を器に入れ、④をかけ、ディルをのせる。

【ボルソック】
材料(3、4人分)
中力粉 ………………………………150㌘
イースト菌……………………………3㌘
塩 ………………………………小さじ1/2
砂糖………20㌘ほど(好みで調整)
ぬるま湯………………………65ccほど
サラダ油 ……………………………適量
作り方
①中力粉と塩をまぜる。
②砂糖、ぬるま湯、イースト菌をよくまぜて①に加え、しっかりとこねる。
③暖かい場所で30~60分ほど発酵させる。
④生地を麺棒で延ばし、ひし形に切ってたっぷりの油で揚げる。