バレエダンサーのティアラなど制作 ハンドメイド工房「アトリエアンジュ」西澤さん

バレエダンサーの頭に輝くアクセサリー、ティアラ。松本市今井の西澤則子さん(59)は、13年ほど前、娘のために髪飾りを作ったことをきっかけに、ダンサーの装飾品を作るようになった。ハンドメイド工房「アトリエアンジュ」として活動、これまで作った300点余の作品は全て一点物で、ダンサーたちを輝かせている。
西澤さんのティアラは、細いコード(中に穴の開いたひも状の物)に針金を通して土台を形成し、スワロフスキー社のクリスタルガラスで装飾する。市販品の装飾は樹脂製のビーズなどが多く、スワロフスキーの装飾はステージでひときわ輝く。
注文を受けると「どの演目で何の役をするのか。どんなイメージか」などを聞き取り、頭の中でイメージして一気に作る。「娘がバレエをしていたので、必要とされている物を想像しやすい」と西澤さん。作り方のメモなどを残さないため、全く同じ物は二度と作れない。「自分のティアラがあるとテンションが上がり、練習にも熱が入る」とダンサーに喜ばれている。
西澤さんの装飾の美しさは広く知られるようになり、「大勢のダンサーが私のティアラやネックレスを着け、コンクールで踊ってくれた。うれしかった」と振り返る。最近は、やはり娘のためにコスチューム制作を始め、パリのコレクションにも出展する「チュチュ工房」(東京都)から声をかけられコラボレーション作品も作っている。
「結婚式に着けたい」「歌の発表会の時に着けて歌いたい」「赤ちゃんが生まれた人に記念のクラウン(王冠)を贈りたい」など、思いがけない注文も入るようになった。幅広い需要があると気付き、結婚式などへのレンタルの相談も始めた。
「元々職人かたぎなので作るのが楽しい」と話す西澤さん。箱を開ける瞬間の笑顔を思い浮かべながら、制作に励む。インスタグラム=こちらから。