フィルム時代にない“技”楽しむ デジタルカメラ愛好家「写凡クラブ」

加工、プリントも自分たちで

安曇野市を中心に活動するデジタルカメラ愛好家の「写凡(しゃぼん)クラブ」。画像の加工もプリントも自分たちですることをモットーにしている。常設展示スペースがある旅館などに飾る作品も自身で選ぶ。ハードルが高そうだが、退職後にカメラを始めたメンバーでも自分なりに楽しんでいる。何でも聞けて教えてくれる仲間がいるからだ。
2月18日、同市豊科の成相コミュニティセンターでクラブの例会が開かれた。近作を見ながら感想を語り合った。
例えば、降雪を撮った一枚。「フラッシュをたくと、雪が丸く写っちゃう」と撮影者がこぼすと、別のメンバーから「丸いのも面白い」と助けが入った。
クラブで撮影会をすると、同じ風景でも撮り方はメンバーそれぞれ。「アングルが違うといいね」とうなずき合った。
「仲間同士でいいこと、悪いことを言い合う。それで腕を磨く」と会長の今福由雄さん(81、豊科)。互いのいいところを見つけて、技を教え合う。
技には、撮影技術はもちろん、パソコンソフトを使った加工の仕方もある。プリンターでの印刷も個人の裁量。「それが面白い」と手塚溥修(ひろなお)さん(83、三郷明盛)。フィルム時代には考えられなかった楽しみを、シニアになって味わっている。

クラブができたのは、デジタルカメラが普及し始めた2000年代初頭。デジタルカメラの写真展を開いていた、故おおすが凡さん(本名・大須賀信政、松川村)の作品に引かれた人たちが集まって活動を始めた。06年からはイオン豊科店(当時サティ)で年1回の展覧会を開いている。
3年前のこの展覧会で、田中利二さん(76、穂高有明)はクラブを知った。買い物ついでに会場を訪れ、メンバーと話しているうちに「入会したようになった」という。カメラはシャッターを押すだけだったが、「クラブには結構いい人がいて、いろいろ聞けた」。のめり込んで、自宅に作業場を造るまでに。「自分で思ったように撮れると楽しい」
撮った作品を見てもらう機会があるのも、このクラブの特長という。「うまい下手はともかく、展示できる」と今福さん。松本市里山辺の「美ケ原温泉翔峰」、安曇野市穂高有明の「江戸川区立穂高荘」に常設の展示スペースがあり、メンバーの作品を定期的に入れ替えている。
今年はイオンでの展覧会が20回目の節目だが、もどかしいのはメンバーの少なさという。一時は20人ほどいたが、現在は6人しかいない。撮影スポットでは同世代の愛好家をたくさん見かける。その人たちに向け呼びかける。「撮りためるだけではもったいない。一緒に展示してみませんか」と。田中さんTEL090・1653・8531