
女の子の健やかな成長と幸せを願う3月3日の「桃の節句」。ひな祭りの由来やひな人形の正しい扱い方、選び方などを松本市の「村山人形店」(中央2)店主の村山謙介さん(47)に聞きました。
★由来や習わし
子の代わりに人形(ひとがた)に災厄を移し、川に流して無病息災を願う行事と、平安時代に始まる人形遊び「ひいな遊び」が結びつき、現在のひな祭りとなりました。
ひな人形は、持ち主の厄を背負うお守りのような存在。姉妹や母親と共有せず、一人に一つ用意するのが本来の習わしです。
★飾り方・時期
日本古来の「左上位」の考えから、京都を中心とする関西では左(向かって右)に男雛(びな)、右側(同左)に女雛を置くのが主流ですが、それ以外の地域では西洋式のルールにのっとった逆の位置が一般的です。どちらが正しいということはありません。
飾る時期は、立春(節分の翌日)から桃の節句が終わるまでが一般的。春の訪れが遅い松本地域などでは、旧暦に近い4月3日に「月遅れ」で祝う風習もあり、その頃まで飾る人もいます。
★買う人、選ぶ人
古くは嫁入り道具だったため、母親の実家が用意しましたが、今は両家で折半するなど柔軟です。主に人形を飾り、片付けをする子どもの母親が気に入ったものを選ぶと良いと思います。
★人形の選び方
今風のインテリアに溶け込み、飾る時も収納時もコンパクトな人形が人気です。ネットで手軽に買える時代ですが、店に並ぶ人形や道具を手に取って気に入ったものを選ぶほか、オーダーメードで自分だけのひな人形を作るのもすてきです。
当店では、誕生の季節や名前にちなんだ絵柄や「裂地(きれじ)」のフルオーダーのほか、裂地を選ぶパターンオーダー、着物を選ぶ木目込みオーダーができます。将来、子どもに人形を選んだ理由を話すのも楽しみですね。
★収納のポイント
かびや虫害を防ぐため、晴れて乾燥した日にはたきでほこりを落としてから箱に入れ、湿気が少なく直射日光の当たらない場所にしまってください。防虫剤は必ず人形専用で。飾る前に収納されている状態を撮影しておくと、しまう時に便利です。
★人形が役目を終えたら
子の成人や結婚を機に、人形は役目を全うするといわれています。手放す時は感謝を込め、対応可能な寺や神社などで供養を。当店を含む高砂通り人形店会では、年に1度、四柱神社(大手3)で人形供養祭を行っています(今年は6月7日を予定)。
形式的に人形を飾るだけでなく、それを囲んで家族で手作りの料理を食べたり、パーティーを楽しんだり…。そんな心温まる時間が、何よりの子どもへのお祝いとなるでしょう。
親子でチャレンジ!簡単「ひな祭り」レシピ
ひな祭りに合わせて、子どもと一緒に簡単な料理やスイーツを作ってみませんか?米粉や甘酒を使ったヘルシーなパンやスイーツ作りの教室「米粉ぱんとおやつLuana」(インスタグラム)を主宰する6歳の女の子のママ、MAMIさん(36、松本市今井)に紹介してもらいました。


甘酒ココアプリン
【材料(2~3人分)】
甘酒(ストレートタイプ)…160㌘/無調整豆乳(牛乳でも可)…110㌘/ココアパウダー(無糖)…15㌘(ふるっておく)/きび砂糖(他の砂糖でも可)…10㌘/ゼラチン…3㌘/水…大さじ1
【作り方】
① 耐熱容器に水とゼラチンを入れ、電子レンジ(600㍗)で10~20秒加熱する。
② 大きめの耐熱容器に甘酒、豆乳、ココアパウダー、きび砂糖を入れ、泡立て器でよく混ぜる。
③ ②を電子レンジ(同)で2~3分加熱する(沸騰直前くらいまで)。
④ ①を入れてよく混ぜたら、型に流し込み、冷蔵庫で固める。好みで生クリーム、イチゴなどを飾り付けて完成。
ひな祭りおにぎり
【材料(2人分)】
ちらしずしのもと…1袋/炊いたご飯…茶わん4杯分/卵…1、2個/キュウリ…約5分の1本/ハム…1枚(2㌢角に切る)/プロセスチーズ…約3㌢角2個/黒ごま…4粒/つまようじ…2本
【作り方】
① ボウルにご飯、ちらしずしのもとを入れて切るようにまぜ、小さめのおにぎりを作る。
② 卵焼き用のフライパンで薄焼き卵を作り、縦半分に切って着物を作る。
③ キュウリで男雛の笏(しゃく)、ハムで女雛の扇子、チーズで頭の飾りを作る(包丁やキッチンばさみなどを使って好きな形に)。
④ ①に②を巻き、合わせの部分につまようじでキュウリ、ハムを留める。
⑤ 頭部分にチーズをのせ、黒ごまで目を付けて完成。