
大町市の「大町中学校イベントサークル」は、生徒有志が地域住民と協働してイベントを企画・運営する、学校の部活動ではなく社会活動のグループだ。初年度のメンバー3人は、大人のサポートを受けてやりたいことに挑戦。学校ではできないさまざまな経験を積み、楽しみながら成長した。
子どもの挑戦大人が支援
冬の誘客を目的に、大町温泉郷観光協会が毎年2月の土曜夜に開く「夢花火と音の祭典」。生徒らは今年の初日に「白玉団子のおしるこ」を売る店を出し、220杯余を販売した。
白玉団子の材料は市内の小中学生が育てた米を使い、うるち米ともち米の両方を活用するため粉の配合割合を工夫した。家庭科教員の助言でポンカンの皮の甘露煮を添え、「味変」の楽しさも加えた。
当日は外国人客を含む長蛇の列ができ、2年生の久保田凛音さんと小松きみさんが、大人のメンバーと共に接客した。小松さんは「自分たちで企画して作った物をおいしいと言ってもらえ、完売できてすごく楽しかった」と笑顔。高校受験を控えた3年生の唐澤永眞さんは、ポスターのデザインなどを担当した。
サークルは、地域住民が学校運営に関わる同校コミュニティ・スクールの学校支援ボランティアらの意見交換から、生徒が主体的に行動して自己有用感を高めたり、達成感を得たりし、地域づくりにも関心が持てる場をつくろうと、同校の許可を得て昨夏に発足させた。
校内にポスターを張ってメンバーを募り、初めての活動は8月、国営アルプスあづみの公園大町・松川地区(同市、松川村)にキッチンカーを出店。起業体験を兼ね、生徒が考案した地元の食材を使う「あんみつ風かき氷」を販売した。
10月には同校校舎でハロウィーンイベントを開催。お化け屋敷やフォトスポット、クイズラリーなどの企画を考え、大勢の来場者を楽しませた。
初年度の活動を振り返り、唐澤さんは「普段関わらない年代と交流できたなど、収穫が多かった。人を支え楽しませることが好きなので、卒業後も参加したい」と話し、久保田さんは「地域の人と関わり楽しめる。学校行事とは全く違う楽しさがある」と、来年度の活動に意欲を見せる。
サークル代表を務める学校支援ボランティアの勝野英男さん(50、同市)は「やる気と行動力があり、大人がサポートすれば何でもできる。失敗もプラスになるので、どんどん挑戦してほしい」と、生徒に呼びかける。