懐かしい松本の風景や人描く 4月7日まで武村洋治さん作品展

松本市の画家、武村洋治さん(83、蟻ケ崎台)の作品展が4月7日まで、松本日産自動車松本店(高宮北)のショールームで開かれている。主に松本地域で出会った人たちの似顔絵や、今は見ることができなくなった市内の風景を描いた作品など30点を展示。武村さんは「知っている人の顔や場所が必ずあるはず。懐かしいなと思い出してもらえたら」と話している。
水彩で描く似顔絵は、多彩な顔ぶれが並ぶ。松本市出身の芸術家・草間彌生さんや、世界的指揮者でセイジ・オザワ松本フェスティバル総監督を務めた小澤征爾さん、歴代の松本市長など、政治や経済、文化など各界の著名人や、武村さんの知人などが登場する。
武村さんは、幼少期から絵を描くことが好きで、これまでに描いた絵は1万点以上という。同志社大に進学後も、美術同好会で絵を学び、コンサートのポスターや機関誌の表紙を任されたこともあった。
長野放送に勤めていた50年ほど前、社内報に初めて描いた似顔絵が話題になり、特技として知られるように。退職後も似顔絵を中心に、風景や祭りなども描いてきた。
似顔絵は、実際に会った人だけを描く。会社員時代に営業先で出会った人に喜んでもらいたいと、さまざまな人を描いた。その数は3千人を超えるという。その人らしい表情やしぐさにもこだわり、脚を短めに描くのが武村さんの絵の特徴だ。「描いている時、その人のことを思い出せるのがいいところ」。今回の展示では、これまでに描いた似顔絵を集めた大作もある。

油彩やアクリルで描いた風景画は、暮らしている地域の日常の風景を残したいとの思いから描き始めた。行きつけの青果店や居酒屋、街角の風景などは、その場の空気感まで伝わってくる。今は閉店したり再開発によりなくなってしまったりした風景もあるが、どこかほっとするような温かいタッチで、松本の街角を画面に残している。
武村さんは「『ここよく行ってた』『この風景が好き』など、生活に溶け込んだ見落としがちな景色を、面白いと思って見てもらえたら」と話している。

【武村洋治展】
4月7日まで午前9時半~午後6時、松本市高宮北の松本日産自動車松本店ショールーム。武村さんが長年描き続けた作品を展示。入場無料。火曜と第2・4水曜定休。同店TEL0263・26・5600