「3級フラワー装飾技能士」に県トップ合格芝穂花さん 身に付けた技磨きに専門校へ

“不器用”でもこつこつ努力

卒業式や入学式、結婚式、誕生日…。人生の節目を花で彩る専門家が「フラワー装飾技能士」だ。南安曇農業高校3年の芝穂花さん(18、松本市)は昨夏、その3級検定に県1位の成績で合格した。入学時は「破壊的」と自己評価するほど不器用だったというが、努力して身に付けた技術をさらに磨こうと今春、専門学校に進む。

祖母がくれた思い出の小鉢

物心がついた頃から花が好きだった芝さん。生花店や公園によく連れて行ってくれた祖母が、花の小鉢をプレゼントしてくれたのも覚えている。「自分のために選んでくれた気持ちがうれしかった」
昨年7月の検定で、成績優秀者の中でもトップの知事賞になったことを祖母に報告すると「すごいじゃん」と言われた。「家族に褒められるのはうれしい」とほほ笑む。

将来は地元の生花店に

花について学びたいと同校グリーンサイエンス科に入り、フラワーコースを選んだ。部活でもフラワーアレンジメントに取り組み、花の魅力を引き出す難しさと面白さを知った。先輩や教師の手際に「同じ花材なのに見え方が全然違ってくる」。
校外での気づきもあった。2年時に松本フラワーセンター(同市笹賀)で業務研修をした。祖母とよく来ていて勝手知ったる店だと思っていたが、「店員の視点に立つと、いろんなものが違って見えた」。アレンジメントの作り方、切り花の手入れ、接客…。店の知らなかった側面に触れ、「働きたい」と思った。
課題は実力。不器用を自認し、「一緒にやる人の足を引っ張りそう」と不安だったが、それでも花に触れるのが楽しかった。「『楽しさ』が原動力。南農に入った時から、一つでもできることを増やそうと思ってきた」。教師や先輩のアドバイスを聞き入れ、課題を克服した。
同科の関口三恵教諭は「のみ込みが早い生徒は他にいるが、芝さんはこつこつと努力できる」と評価。本年度の卒業生が対象の校内表彰で最高賞を受けた。
4月から岐阜県立国際園芸アカデミー(可児市)で学び、将来は地元の生花店で働きたいという。「特別な日に彩りを加えて喜んでもらいたい。花を見て幸せになってほしい」

【フラワー装飾技能士】 ブライダルブーケやパーティー、葬儀場の飾りなど、生花やドライフラワーなどを使ったデザインの業務に関わる技能を証明する国家資格。生花店で働く人や、教室で教える人らが取得する。1~3級があり、学科と実技の試験で認定される。