全日本アンサンブルコンテスト/中部日本個人・重奏コンテスト 中高生大舞台に挑む

中信地方で楽器演奏に取り組む中高生22人が、第48回全日本アンサンブルコンテスト(3月20日、福井市)、第37回中部日本個人・重奏コンテスト(22、23日・金沢市)に出場する。いずれも東海大会や県大会で代表に選ばれた。大舞台で最高の音色を響かせようと意気込んでいる。

鎌田中 金管八重奏 学年超えて高めた結束 先輩の分も演奏楽しむ

全日本アンサンブルコンテストに出場するのは、松本市鎌田中学校吹奏楽部の金管八重奏チーム。編成はトランペットとトロンボーン4本ずつで1、2年生4人ずつ。
演奏するイタリアの作曲家ジョバンニ・ガブリエリの「第1旋法による8声のカンツォン」は、4声ずつ2組が掛け合い、大聖堂など広い空間で響くように作られた曲という。「全てのメロディーを同じ人が吹いていると聞こえるように」と、2人一組で同じメロディーを同時に奏でるなどの練習をしている。
コンテストに金管楽器だけで出場するチームは、近年減る傾向だ。審査が厳しくなったことや、コロナ禍で奏者の体力が落ち、技量の低下につながったことなども理由とされる。同部の挑戦と全国大会まで進出した成果は、関係者を驚かせた。
チームを2年生だけで組まず1年生を加えたのは、以前1年生だけで組んだ際に練習の進め方が分からなかったことや、先輩との関係を深める機会を逃してしまったという部員自身の経験から。学年に関係なくパートごとの結束力を高めたいとし、「互いに何でも言い合える関係になることが、今後に生きる。以前より(1年生との)距離が縮まった」とトランペットの栁澤花帆さん(2年)。
同部は2020年、今回と同じ金管八重奏チームが、同じ会場で開かれる全国大会に出場を決めていたが、コロナで中止に。「後輩たちが同じ舞台に立ち、OBらの悔しい気持ちも晴れる」と顧問の塚田理恵教諭。
「プレッシャーもあるが、運命的な縁を感じる」とトロンボーンの竹本優さん(2年)。8人は「先輩たちの分も、大舞台での演奏を楽しみたい」と力を込める。そのほかのメンバーは(以下敬称略)今井愛莉、佐藤萌々香(以上2年)、日向葵、唐澤礼奈、河野美緒、宮田遥斗(以上1年)。
同部からは中部日本個人・重奏コンテストにも、サクソフォン五重奏チーム(芦田みな美2、浅輪日愛1、笠原花夏1、後藤あこ1、西野優聖1)と打楽器五重奏チーム(福井うた2、中村百杏2、塩原そら1、大宮路悠乃1、小澤柊介1)=以上敬称略・数字は学年=が出場する。

フルート 個人2人と二重奏 課題克服し本大会へ 息合わせて難曲に挑戦

中部日本個人・重奏コンテストには、いずれもフルートで中学生(22日)個人の部に小口瑞稀さん(女鳥羽2年)、高校(23日)個人の部に井澤逢衣さん(松本蟻ケ崎2年)、重奏の部に小松優奈さんと上條恵さん(ともに豊科1年)の二重奏も出場する。
小口さんは、コダマ音楽教室(松本市)の福留亜紀さんの指導を受け、初挑戦で県代表に。演奏曲はビゼー「組曲『アルルの女』よりメヌエット」。県大会(2月1日)は「練習より音が響き、気持ちよく吹けた」と振り返り、本番は「課題のビブラートをもっとうまくできるよう頑張りたい」。
高校生3人は、居石ひとみさん(松本市里山辺)の教室の生徒。
井澤さんは2度目の挑戦で県代表に。演奏するタファネル「『魔弾の射手』によるファンタジー」は、音の跳躍があり細かい指回しも課題という。「県大会(1月25日)は緊張し、完璧な演奏ができなかった。本大会は曲のかっこよさを表現できたら」と練習に励む。
小松さんと上條さんが演奏するのは、ボザ「3つのエヴォカシオンより『風の中の輝き(反映)』」。それぞれに技術がないと合わせられないという難曲にあえて挑んだ。
2人は鎌田中学校の吹奏楽部で苦楽を共にした仲で、演奏中はアイコンタクトで息を合わせる。「さらにレベルアップし、周りの人たちに感謝の気持ちを伝える演奏がしたい」と思いを込める。