
北アルプスの雄大な山々を望む安曇野市三郷小倉にある安曇野ワイナリー。製造部部長で醸造責任者の加藤彰さん(51)は豊かな自然、きれいな空気など、安曇野特有の土壌、地質、気候といった「テロワール」をぎゅっと詰め込んだワイン造りを目指している。
安曇野感じられるワインを
山形村出身。塩尻市の高校を卒業し、自衛隊に入隊した。4年間の任期を終え、民間企業への就職を考えた時、「楽しくお酒を飲むにはどうしたらいいのか」と、漠然と思った。そして酒に携わる仕事に就くことを決心した。
塩尻市のワイナリーに就職。ブドウの栽培や営業に関わった。その後、松本のワイナリーへ移り、そこではブドウの栽培と醸造を経験した。
2008年、安曇野ワイナリーに入った。シャルドネ、メルロー、カベルネソービニヨンなどの品種の苗を約3千本植えるため、雑木林を伐採するなど、ゼロからスタートすることもあったという。当時の工場長からワイン造りを一から勉強。11年、醸造責任者になった。
現在、自社のブドウ畑は約3・2ヘクタールでシャルドネ、メルローなど6種類が植わっている。このほか、契約農家では、マスカット・ベーリーA、ヤマブドウ、竜眼などを栽培。これらのブドウを使い、約20種類のワインを造る。リンゴを使ったデザートワインは、安曇野ならではだ。
「ワインの味を決めるのは、ブドウ8割、造り手2割。いかにブドウが大事なのか、造れば造るほどわかる」と、奥の深さを実感。その上で、「ブドウに寄り添いながら、香りや味、色と、安曇野を感じられるワインを造りたい」と力を込める。
【沿革】
あづみのわいなりー 2007年、半導体製造やスキービジネス事業などを展開する樫山工業(佐久市)が設立。標高約700メートルにある自社畑は、日当たりがよく、寒暖差が大きいなどブドウ栽培に適した環境。そこでメルローなど約7300本を栽培。ワインは最大10万本(7万5000リットル)を生産する。
【加藤さんおすすめこの1本】
シャトー安曇野 メルロ2019(750ミリリットル6050円)
【相性のいい料理】
ブリなどの照り焼き料理
【連絡先】
安曇野ワイナリーTEL0263・77・7700