
朝日村社会福祉協議会が、福祉事業推進のために1993年度から取り組んできた「福祉貯金箱」。本年度で貯金が目標額に達したことなどから事業を終了。同時に、長年活動を支えてきたボランティアグループ「福寿会」(6人)も解散した。10日、福寿会の最後の総会が村内の飲食店で開かれ、会員が活動を振り返った。
福祉貯金箱は、同村の社会福祉事業の推進を図るため、目標額を2千万円に定め、取り組みを開始。毎年、村内全戸に貯金箱を配布して1年後に回収し、集まったお金は基金として積み立てた。活動開始から30余年たった本年度、目標額に達した。
福寿会は、この活動に合わせて発足。知人らに声をかけ、貯金箱の材料となる牛乳パックを収集。それを半分に切ったり、手作りののりで貼り合わせたりする「貯金箱作り」は農閑期に実施。お茶を飲みながら、世間話で盛り上がったり、漬物の作り方や畑仕事を教え合ったりするなど、楽しみながら続けてきた。会員みんなが「大変だったというより、冬のお楽しみだった」と口をそろえる。
また年に1度、地区役員が回収してくる貯金箱の開封作業も担った。貯金箱の汚れや破損を補修し、集まったお金の仕分けもした。時折、硬貨に混ざってお札が入っていることもあり「そんなときは、ちょっとうれしかったね」と顔を見合わせる。
毎年30万円ほど集まったお金は、地元のJAで集計してもらっており、目標額達成の知らせに会員らは、「本当に『ちりも積もれば山となる』。みんなよく入れてくれた」と感謝。「村の福祉のために使ってもらえればうれしいね」と期待する。
数年前から、衛生面の配慮などから缶の貯金箱に切り替わっており、村民から「味気ないね」など残念がる声も上がっているという。
同会発足当初から活動してきた下田太対子(たづこ)さん(88、針尾)は「みんなと一緒にやれたのがうれしかった」としみじみ。
同会会長の塩原豊子さん(74、古見)は「解散はさみしいけど、少しほっとする気持ちもある」とし、「他のボランティアやサークル活動などに携わっている人たちばかり。また行き会えるね」と笑顔を見せた。
同社協によると、福祉貯金箱の終了は、目標額達成のほか、回収などに携わる役員の負担軽減、硬貨取り扱い手数料の負担増加などから決定。貯金は今後、地域の福祉事業や災害時の備えなどとして活用するという。