
自宅にこもりがちになっている育休中の人が外へ出る機会になれば─。キャリア形成支援などの「さんろくご」代表の高山未央さん(38、松本市梓川梓)は、育休中の人たちが集い、職場復帰に向けた学びと交流をするコミュニティーサロン「晴ればれ」を開いています。
2024年2月スタート。毎週火曜日の午前9時半~午後0時半、日帰り温泉「坂元の湯」(同市浅間温泉3)2階で開いています。対象は育休中のママパパで、定員8人。子どもは1階の「小規模こども園坂元屋」で預かります。
サロンは毎回テーマと講師が異なり、子どもの月齢など簡単な自己紹介、復帰後の生活を見据えた「学びの講座」(90分)といった流れで進みます。
11時になると子どもを迎えに行き、みんなでランチタイム。離乳食は各自持参しますが、親は用意された弁当を食べながら交流します。講座中に子どもを見ていた保育士から様子を聞いたり、日常の相談や質問をしたり。話は尽きません。
三男唯仁(ゆいと)ちゃん(3カ月)と参加した中西華絵さん(30、県)は「フルタイムの復帰間近で、子どもを保育園に預けるのに必要なものを知りたくて参加しました」。他にも「市の『つどいの広場』は子どもの話が中心だけど、ここは自分の気持ちや、これからどうしたいかといった話ができるのがいい」「育休を取って子どもと過ごせるのは良い経験。それを後輩にも伝えたい」といった声がありました。
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自身も2度の育休を取得した高山さんは、転勤や単身赴任を経験するうちに、働くママパパのキャリア支援がしたいと昨年3月に起業しました。「晴ればれ」は福利厚生の一環として契約した企業に提供するサービスですが、一般にも開放しています。「『育休後アドバイザー』(NPO法人女性と仕事研究所が養成)として、『武器』になるような学びを提供します」
取材に訪れた2月末のテーマは「家族の防災」。家事を効率的にこなすための家事リスト「リセッターリスト」アドバイザーの荒木ゆうこさんを講師に、防災グッズや置き場所などについて学びました。
また、防災士の資格を持つ高山さんも、職場復帰を控えたママたちにメッセージを送りました。「災害時は家族がばらばらで、すぐに会えないことを想定し、子どもの体と心を守る準備をしてほしい。子どもが通う保育園の避難場所はご存じですか?親は職場の避難場所から動けなくなる可能性もあるので、家族で集合場所を決めておいて」
小学2年の長男のランドセルに入れている防災ポーチの中身を紹介し、「ホイッスルや連絡先といった物だけでなく、子どもに向けた手描きのメッセージやあめが心の安心につながる」と伝えました。
高山さんは「育休を終えたママパパが、職場復帰後にその人らしく活躍できることを願っています。晴ればれを外出の機会にしてみませんか」と話しています。
【晴ればれ】
株式会社さんろくご(松本市中央2)が契約した企業に提供する育休サポートプログラム(従業員の利用は無料)。一般も利用でき、1回2000円(託児、弁当代込み)。申し込みはインスタグラムから。TEL0263・33・3850