
日本神話に登場する、武神も服従した織物の神・倭文(しづり)。その謎を探り、古代の日本人が衣服に込めた力を解き明かしたドキュメンタリー映画「倭文(しづり)旅するカジの木」が4月19日、松本市あがたの森文化会館で上映される。上映後、「映像民俗学」の第一人者・北村皆雄監督(82、伊那市出身)のトークもある。
市民文化講座「サロンあがたの森」の実行委員会が企画した。
北村さんが倭文に興味を持ったのは、親交のある織物作家からその存在を知ったのがきっかけだ。「なぜ神話の中に織物の神が出てくるのか」との疑問を持ち、倭文を通して「衣」を考えてみたいと取材を開始した。
初期の布のルーツを探ると、その原料はカジノキやコウゾなどを含む「カジの木」だった。取材を海外に広げ、カジの木が中国南部から台湾を経由してアジア・オセアニアに広がったことなどが分かり、日本列島へ来た二つのルートを突き止めた。国内の4人の作家が木の樹皮から布や帯などを織り、「倭文」を“復元”する試みも捉えた。
北村さんは「カジの木には生命力、強さががあり、それで作った布は一番白い。古代の人々は、その布に特別な力を感じていたのではないか」と話す。
2018年から5年をかけた労作。午後1時半開演。上映119分(全席自由)。上映後に北村さんが作品への思いなどを話す。参加費200円。電話での申し込みが必要。旧制高等学校記念館℡0263・35・6226