幻想的ご神体を仮殿へ 会田御厨神明宮 21年に1度の式年遷宮祭始まる

「残された伝統・文化維持したい」

松本市会田の会田御厨(みくりや)神明宮で3月22日夜、本殿に祭るご神体を一時的に仮の本殿に移す「仮殿遷座祭」が行われた。21年に1度の式年遷宮祭の始まりの神事で、行われるのは2004年以来。ちょうちんのわずかな明かりがともる厳かな雰囲気の中、行列が進んだ。
神職や氏子総代、四賀地区の住民らの実行委員約30人が参加。ご神体が入る箱を抱えた大塚利彦宮司が、人目に触れないよう周囲を白い絹布で覆う「絹垣(きぬがき)」の中へ入り、神職が発する「おー」という声や雅楽の音色が響く中、仮殿までの緩やかな坂をゆっくりと進んだ。
住民ら約50人が見守り、73歳の女性は「初めて見たが、幻想的で素晴らしかった。(神社は)地域住民の心を一つにしてくれる場所」と話した。
本殿を建て替えたり修繕したりする式年遷宮祭は、記録に残るだけでも江戸時代から続き、今回はシロアリによる腐食や雨漏りなど、傷みが激しい箇所を直す。修復後にご神体を本殿へ戻す「正遷座祭」と「奉祝祭」は来年6月を予定している。
実行委祭典委員長の松澤強さん(74、会田)は「毎年ではないため難しいこともあるが、皆さんの力で行えた。集まりごとが簡略化される中、残された伝統や文化を維持していきたい」と話していた。