【ビジネスの明日】#71 カワサキプラザ松本ゼネラルマネージャー 松沢勇弥さん

「趣味の世界として今、バイクは老若男女から注目を集めています」。こう話すのは、カワサキの二輪車専門店・カワサキプラザ松本(松本市並柳1)のゼネラルマネージャー、松沢勇弥さん(31)だ。バイクの魅力と共に、ブランドイメージの発信に力を入れる。

五感に魅力伝える雰囲気づくり

「店の雰囲気を五感で感じてほしい」と、店内は黒を基調に、緑色を効果的に使ったおしゃれな空間。カワサキオリジナルの「緑を感じる」香りが漂い、BGMも時間により曲調を変える。サービスで提供するコーヒーもオリジナルだ。
商品のバイクは、全方向から見られるように、あまり台数を詰め込まず、余裕を持たせて陳列。「二輪車世界初」というエンジンと電気モーターのハイブリッドモデルをはじめ、大型クラスを中心に、スポーツタイプが並ぶ。「ここへ来るお客さんのほとんどは、趣味でバイクに乗っている。店でも、非日常感を出せたら」とする。
バイクの開放感などが影響し、コロナ禍に突入した2020年に、数十年ぶりというバイクブームが到来。「教習所が入校待ちになったという話も聞いた」
そのブームはわずかな期間で去ったが、現状は、コロナ禍前より好調を維持。直近の販売台数は目標の「120%は達成している」という。
客層は1980~90年代のバイクブームの時に乗り、いったんは離れた50、60代が再び乗る「リターンライダー」と呼ばれる人や、その人らと同世代で、若い頃にバイクに憧れた初心者。さらにユーチューブなどで、バイクで爽快に走る動画を見て影響された若者も増えているという。
「バイク乗りは、擦れ違う際、お互い手を振る習慣がある。そういったコミュニケーションの取り方も若い人に受けているようだ」と分析する。
父・正広さん(61)が伊那市で1988年に創業した二輪車の国内4大メーカーの正規取扱店「アクト」の2代目で現在は同社の取締役。元々同社がカワサキを主力にしており、カワサキの大型クラスの新車が専門店以外で扱えなくなったことなどからプラザ松本を開店した。
「伊那の本店は、原付など実用的なバイクを扱う『街のバイク屋』で、松本とは趣が異なる。この2拠点を維持しながら中南信はもちろん、東信までカバーできたら」とし、「バイクには、生き物に乗るような操る喜びがある。その魅力を伝えていきたい」と話した。

まつざわ・ゆうや
1994年、伊那市出身。高校卒業後、埼玉県の整備士の専門学校に進学。都内のバイク販売店に就職し3年間、営業と整備を勉強。2017年、アクトに入社し、取締役就任。21年6月、プラザ松本オープン。22年10月から同店ゼネラルマネージャー。塩尻市在住。