【ガンズリポート】「選手シート」で交流 今季は安藤翼・山本康裕の2選手

選手自らがチケットを買い、ファン・サポーターをサンプロアルウィンに招待する「選手シート」企画。松本山雅FCでは今季、ともに在籍2年目のFW安藤翼(28)とMF山本康裕(こうすけ)(35)の両選手がリーグ戦で行っている。安藤選手は実施直前に大けがをしたが取りやめず、試合後はサポーターと交流している。
安藤選手の企画名は、本人の愛称にちなむ「アンツバシート」。1試合につき最大5人を招く。大人は2人までで、残りは中学生以下としたところに思いが表れる。
子どもの頃、家族とJリーグの試合を観戦するのが一番の楽しみだったという同選手。自身がJリーガーになって子どもにできることを考え、「選手からじかに試合に招待してもらう経験が、夢をかなえるきっかけになればいいと思った」。勝っても負けても、試合後に招待者と記念撮影することにした。
ところが対象のホーム戦が始まる前に、右膝に全治8カ月の大けがを負った。アンツバシートの実施は「正直少し迷った」というが、「サッカーをできない期間も、僕にとっては重要な時間。子どもたちに思いを伝えることはできる」と、予定通り行うことにした。
初戦となった3月23日のSC相模原戦。安藤選手は松葉づえを突いてスタジアムを訪れ、試合後にピッチサイドで招待者と対面した。
「会えると思っていなかった。びっくり」と、中信地方在住の小松悦子さん。一緒に来た息子や姉と満面の笑みで記念撮影したり、手紙を渡したり。前線で体を張る安藤選手の姿に、同じ小柄な自分を重ねて応援するようになったといい、「とにかく『ありがとう』と伝えたかった。会ってみると、サッカーがうまいだけじゃなかった」と感激していた。
安藤選手は「目を輝かせて『応援してます。復帰を待ってます』と伝えてもらい、僕自身がパワーをもらった」。今後も試合後の交流を続けるという。

山本康裕選手の企画名は、ずばり「康裕シート」。山雅に加入した昨季の途中から始めた。「1人でも多くの人に見に来てほしい」と、前所属のジュビロ磐田時代も行っていた。
ペア1組を招待し、相模原戦で招かれたのは宮田村の父子。「子どもが(同選手と同じ)MFをやっているので近くで見たかった」と平松寿和さん(46)。同選手の鮮やかなゴールも見られ、絢汰さん(9)は「シュートを練習したい」と刺激を受けた様子だった。
康裕シートは、勝った場合だけ試合後に同選手と記念撮影できる。この日は2―0の快勝で「よかった」と寿和さん。

両選手のシートは共にS席。山雅の公式ウェブサイト(https://www.yamaga-fc.com/planning-ticket)から申し込める。