
朝日村針尾のギャラリー「BLUE HOUSE STUDIO(ブルーハウススタジオ)」は13日まで、「冨田美穂牛木版画展」を開いている。牛に魅せられ、酪農の仕事をしながら制作を続ける冨田さん(45)の作品10点を展示。3月29日にはギャラリートークがあり、来場した25人が牛への思いや作品について聞いた。
東京都出身の冨田さんは武蔵野美術大版画コースに在籍中、アルバイトで行った北海道の牧場で牛に出合った。人懐っこい牛がいたことから、牛のかわいさに目覚めていった一方、生死を目の当たりにし、今まで無頓着だった肉や牛乳、皮などについても考えさせられた。ちょうどモチーフについて悩んでいた時期で「向き合って表現したい」と考えるようになったという。
その後北海道の小清水町に移住し、現在も週2日ほど酪農従業員として牛と触れ合いながら、制作活動を続けている。牛たちの個性や表情、体つきの違いや「かわいい角度」もあるという冨田さんが作り出す作品は、写真のように緻密で迫力があり、牛の息遣いが聞こえてきそうなほど。同スタジオ主宰の宇賀神拓也さん(48)は「最初に見た時に仏像を思い出した」という。
中標津町の荒川版画美術館に常設展示する他、各地で作品を発表。機関誌の表紙や絵本などの絵画も手がけ、第20回岡本太郎現代芸術賞入賞など活躍中で、「基礎を掘り起こしながら作品を底上げしていきたい」と話している。
会場には展示作品の他、ポートフォリオ(作品のファイル)もある。午前10時~午後5時半。入場無料。