
素晴らしい地域の宝伝えたい
アルピコ交通上高地線。その西側の終着駅・新島々駅(松本市波田)と、周辺のカタクリ群生地。これらの魅力を伝えようと、鉄道ファンや地元の人がタッグを組み、12日にイベントを開く。「本と電車と春のさとやま」をテーマにした、「しましま本店」と「春のさとやま歩き~上海渡(かみがいと)カタクリ群生地」だ。
しましま本店は今年3年目。「文化を運ぶ鉄道上高地線」として、停車している電車内で古本市を開催。本だけでなく、音楽や飲食を楽しめる空間を提供する。春のさとやま歩きは2回目で、里山を歩いて花を楽しんだり、深呼吸して心身共にリフレッシュしたりする。
「上高地線の電車に乗って新島々へ来て」と願いを込めたイベント。車窓からの風景、花など、春とロマンを感じる一日になりそうだ。
「しましま本店」書店8ブース喫茶・甘味も
上高地線新島々駅で開く、しましま本店(実行委員会主催)の営業時間は12日午前10時半~午後3時。3月で定期運行を終えた昭和の電車3000形車内に、絵本やエッセー、小説、雑誌などを扱う県内外の書店8ブース、喫茶・甘味店2ブースが並ぶ。
実行委メンバーは、代表の太田岳さん(34、木祖村)、遠藤真央さん(29、松本市島内)ら10~30代の7人。太田さんは子どもの頃から電車が大好きで、乗車を楽しむ「乗り鉄」を自称。移りゆく車窓の風景を眺め、線路の先に何があるのか想像するわくわく感を味わってきた。
「上高地線は四季折々の風景の中を走る、地域の生活の足。人同士の距離が近くて、乗客と運転士がなじみなど、顔が見える鉄道」と魅力を話す。
太田さんは、今回の資金をクラウドファンディングで集めた。目標の18万円を上回る27万4千円が49人から集まったという。
「春のさとやま歩き」カタクリなど山野草楽しむ
春のさとやま歩きは、12日午後1時半~3時。学習サポートこまめ塾(同市波田)を運営する深澤一代さん(58)が、企画運営とガイドを務める。カタクリの群生地、アズマイチゲ、希少種のオオヤマカタバミなど山野草を楽しみながら、往復3キロ弱を歩く。
散策地となる上海渡(かみがいと)地区では、1997年ごろから有志が群生地を整備、2012年ごろまで「カタクリ祭り」を開いてきた。運営側の高齢化などで中断し、その後荒れ放題になっていた。
21年に発足した「波田希少動植物保存会」が整備を進めた。メンバーで地主でもある深澤さんが「自然に近い状態で山野草を楽しめる、貴重な場所」と考え、地元の良さを発見したり、自然を通して癒やしを感じたりしてほしいと、「さとやま歩き」を企画した。
太田さん、深澤さんに共通するのは、自分が「好き」であることに加え、身近にある素晴らしい“地域の宝”を多くの人に伝えたいと願っていることだ。周辺に駐車場がなく、「ぜひ上高地線を使ってほしい」と太田さん。
しましま本店入場料は中学生以上500円、小学生200円。太田さんTEL090・9357・3317。春のさとやま歩きは先着20人。要申し込み。無料(整備のためのカンパを希望)。雨天中止。深澤さんTEL090・5214・7238