
松本市内の宗派を超えた約40の寺でつくる「松本仏教和合会」は、仏教の開祖、釈迦(しゃか)の誕生を祝う「お花まつり」に合わせ、托鉢(たくはつ)を行っている。4月7日は法衣姿の僧侶約10人が、バイクで市街地の店や個人宅を回った。
自宅や店舗の内外で読経する托鉢は、1869(明治2)年から続く歴史があり、お花まつりの費用に充てようと例年4月の平日に約1カ月行う。
この日僧侶が訪れた山口石材(北深志1)の山口香さんは、結婚を機に約40年前に同市へ。「花まつりや稚児行列は、街が華やかになる。毎年続く歴史的文化を大切にしていきたい」と話した。
今回集めた浄財は、6月1日に生蓮寺(寿北3)で開くお花まつりの費用に充てるほか、能登半島地震などの被災地に義援金として送る。全久院(深志3)住職で同会会長の倉科利行さん(72)は「托鉢は戦没者の慰霊を目的に続いてきた。市民の温かい心に感謝し、歴史を引き継ぎたい」と話した。