
オープンを控えたバレエ用品店・洋裁工房「AtelierUnDeux(アトリエアンドゥー)」(松本市島立)で、代表の安藤実理(みのり)さん(42、同市)が、バレエを習う次女・理花さん(10)の衣装を仕上げている。
安藤さんはバレエを習う3児の母。自身も趣味でバレエを習う。県内にバレエ用品店がないことに不便を感じていたことから、自ら起業した。
大学卒業と同時に結婚し、一男二女を育てながら自身のキャリアを模索。洋裁が好きだったことからバレエ衣装を作り始めた。
「『こんなものがあればいいのに』という当事者目線の商品開発を大切にし、バレエの魅力と楽しさをより多くの人に伝えられたら」と安藤さん。踊り手をより輝かせる一助にと、工房の扉を開く。
地域のバレエ文化に貢献したい
バレエ用品店・洋裁工房「AtelierUnDeux(アトリエアンドゥー)」(松本市島立)は、クラシックバレエのシューズやアクセサリーなど国内外のメーカー製品の仕入れ販売と、オーダーメード衣装の仕立て販売を手がける。
代表の安藤実理さんは、共に幼い頃からバレエを習う長女の実結さん(16)、長男の咲也さん(14)、次女の理花さんの保護者として、また、10年ほど前からは自身も趣味で習い、バレエと向き合ってきた。
現在は、理花さんと実理さんが長野バレエ団の松本教室に所属。理花さんは週6日、実理さんは2日、レッスンを受ける。3月末には、バレエコンクールに自作の衣装で初参加した。「とても緊張して終わってから体の震えが止まらなかった。舞台で踊る人の気持ちがわかったので、衣装作りにも生かせそう」と実理さん。
同団インストラクターの倉島彩納(あやな)さん(38)は「(実理さんは)いい生徒であり、いい保護者。何事にも一生懸命に取り組めて踊り心もある。仕事でも貢献してもらえるので、ありがたい」と期待を寄せる。
神戸市出身の実理さん。宝塚北高校(兵庫県)の演劇科で学び、関西の大学に進学。スキー部で出会った夫と卒業後すぐに結婚した。夫の転勤で2010年、松本に来て定住した。
体を動かすことが好きで、スポーツジムで働いていたが、コロナ下でジムが閉鎖に。「手に職をつけたい」と考えるようになった。
ネイルアートの資格を取り自宅でサロンを営んだこともあったが、続かなかった。洋裁が好きだったので起業を視野に入れて教室を受講。子ども服を主に習った。
県内でバレエを習う人は推定約2200人いるものの、バレエ用品専門店はなく、ネット通販か県外の店に買いに行くしかない状況に、多くの保護者が困っていることを実感した。
起業を決意し、2年前からバレエの衣装を作り始めた。県中小企業家同友会に所属し、経営について学びながら開業準備を進めてきた。バレエの衣装は特殊な技術が求められるため、今も都内の専門学校に隔週で通いながら腕を磨く。
「当事者目線で商品開発できるのが強み」と安藤さん。例えば、ボタンを留められない幼児が自分で着替えられるワンピースや、大人の体形をカバーしてくれるレオタードなど、細かいニーズに応えたものづくりを大切にしたいという。
3月末に法人化し、4月下旬に正式オープン予定。県内でバレエを習う人がいつでも手に取り、試着して購入でき、気軽にオーダーもできる存在を目指す。
実理さんは、バレエの魅力を「非日常感」という。「幅広い世代に楽しさを発信し、地域のバレエ文化の継承と発展に貢献したい」。企業家と踊り手の両輪で進んでいく。
店は泉カーサービス(松本市島立)の2階。TEL0263・75・7756
