
「食の寺子屋」。なんてすてきな響きでしょう。この言葉には、食べることを決しておろそかにしないという決意を感じます。
3月14日、この「食の寺子屋」に関する勉強会が松本市県のあがたの森文化会館で開かれ、講師として呼ばれました。そこで「農業3.0!自然農法は地球と人類を救う」という演題で話をしました。余談ですが会場の建物は、静謐(せいひつ)だけれど過去の熱い議論が壁に染み付いているようで大好きです。
勉強会では書籍「肥満と飢餓」(ラジ・パテル著、作品社)を参考に「食」を通して社会を変えるにはどうしたらよいかを参加者と考えました。この書籍の副題は「世界フードビジネスの不幸のシステム」。日本語版序文には「なぜ世界で、10億人が飢えにあえぎ、10億人が肥満に苦しむのか」とあります。
米国のケロッグのような大手食品製造会社、ウォルマートのような巨大スーパーマーケットチェーン、ファイザーのような大手製薬会社でつくる「鉄の三角形」が、いかに自国民を肥満にし、発展途上国を飢餓に追い込んだかが書かれています。この構造を壊せば社会も変えられます。
米国の詩人で、農家でもあるウェンデル・ベリーさん(90)は「Eating is anagricultural act」。つまり「食べることは農的行為である」と言っています。スローフードの先進国・イタリアには「教会の鐘の音が聞こえる場所の食物を食べよ」という教えがあり、日本にも「身の回りで取れる食材を食べていれば病気知らず」を意味する「四里四方に病なし」ということわざがあります。
もう一度、食や農を見詰め直すことで、社会をよくするきっかけにしようとする熱意が勉強会では感じられ、ものすごい熱量で話したつもりですが、それ以上の熱量が聴講者から返ってくるというすてきな2時間でした。