
松本市今井の蕎麦(そば)道場大瀬庵(大瀬渡さん主宰)のメンバー有志が、部活動の地域移行に向けて「そば部」を発足させようと活動を始めた。賛同した近隣のそば店3店と一緒に実行委員会を組織。手始めに春休み中の鉢盛中学校生徒を対象に、今井と朝日村の公民館で体験会を開き、参加した7人にそば打ちの楽しさを伝えた。
文化の継承や受け皿に
2日に開いた今井での講習には、3人が参加。祖父がそばを打つという佐藤こはるさん(3年、山形村)は「結構大変だった。今度はおじいちゃんと一緒に打ちたい」とにっこり。古畑幸来さん(1年、今井)と栁澤志帆さん(同)は「大変だったけれど楽しかった」「機会があれば、またやりたい」と笑顔で話した。
そば部発足は、大瀬庵でそば打ちを学び、地域で指導もしている櫻井くみ子さん(48)が、大瀬さん(76)らに呼びかけたのが始まり。長男が同校在学中にそば打ちを始め、進学後も留学生らとの交流に生かしたり、就職の面接で自己アピールに使ったりして「そばをやっていて良かった」と話していた。現在は次男が同校生徒で、保護者会で部活の地域移行の話を聞いた。「子どもたちが自信を持てて、文化の継承にもなる」と考え、有志らと動き出した。
松本市の推進計画によると、地域移行の受け皿になるには週1回以上の活動が必要。大瀬さんらは当初、「実際に打つのは月2回程度」と考えていた。その後、朝日村の「朝日そばふじもり」、山形村の「そば処木鶏(どころもっけい)」、塩尻市洗馬の「芳香庵みのる」から協力の申し出があり、そば粉を使った料理の講習、製粉や店舗の見学など、回数も内容も幅が広がりそうだ。
体験会では「生徒たちが楽しそうで、ほっとした」と櫻井さん。5月の連休明けから活動する予定で、「子どもたちの負担にならない頻度で行い、活動の受け皿になる足がかりをつくりたい」。部活動地域移行の新しいモデルにもなりそうだ。