心の機微も伝わる油彩 大町の元美術教師・古澤三敏さん初の画集

大町市平の元美術教師・古澤三敏さん(68)は、自身初の画集「油彩画集─彼方(かなた)の國(くに)へ─」を芙貴出版社(同市社)から出版した。大学生時代から最近の作品まで40点を収録。描いた当時の心情も伝わるような作品の数々をほぼ制作年代順に並べてあり、長年の制作活動をたどる集大成の画集になっている。
同市出身。主に大北地域の小中学校で教える傍ら、県展や創元展といった公募展に出品するなど作品制作にも打ち込んできた。
作品は、人物、風景、静物画など多彩。写実的な画風で物の存在感を描いたり、空想的な題材を表現したりしたものも。「心の原風景」という幼少期の自分と家族、近所の子どもたちとの写真を題材に優しいタッチで描いた作品、年齢に応じた味わいがある自画像も複数収めた。小説の一場面をイメージした作品や、心象風景もある。自身で解説を付けた。
心身の不調に苦しんだり家族が体調を崩したりして思うように制作ができない時期もあったというが、「絵は生きがい。絵に救われ、希望を見いだしたことも」と古澤さん。色調や題材の変遷の一端には、心の機微も感じられる。
古澤さんは「自分で気が付かなかった世界や心のありようも一望できる」とし、今後について「イメージの世界や昔を回顧した題材を組み合わせたような作品などを手がけたい」と話す。
B4判、50ページ。3300円。マルマツ大町営業所(同市大町)や平安堂長野店(長野市)で購入できる。