
大町市大町の丸山好昭さん(90)は4月23日まで、写真展「大町市立大町西小学校桜並木の想(おも)い出」を、ギャラリー・いーずら(同市大町)で開いている。母校の大町西小学校が市内小学校の再編に伴って本年度末で閉校するため、長年大切に守られてきたサクラの開花時季に合わせて開催。「地域の宝で誇り」(丸山さん)という見事なサクラを写した27点が並ぶ。
学校の美しさ 情景切り取る
丸山さんは同校の前身の大町国民学校で学んだ。市内の企業に就職後、社内の「写真クラブ」に所属したのを機に、70年近く趣味で写真を続ける。母校のサクラも長年撮影を続け、今展では昭和40年代から近年までの春夏秋冬のたたずまいを紹介している。
サクラの近くに児童や教師がいる情景を切り取った作品が多い。丸山さんが伝えたいのは「学校としての美しさ」。満開のサクラの下で絵を描く児童や、クラスの集合写真を撮る教師の姿の他、ブランコで友達と高さを競ったり、落ち葉の上を友と歩いたりする姿にレンズを向けた。
また、満開のサクラの校庭で盛大に行われた市民運動会などを撮った作品もあり、地域住民にも親しまれ愛された歴史を感じさせる。
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新学制に伴って校名が変わった大町小学校(1984年から大町西)が77(昭和52)年に発行した写真文集「桜並木」によると、同校のサクラの歴史は現在地に校舎が移転した翌年の31(昭和6)年、地元の「北原青年会」がソメイヨシノの苗木100本を植えたのが始まり。以降、地域住民や教師らが施肥や盛り土、害虫防除などの手入れを続け、古木との世代交代に向けて若木を植えるなどして守り続けている。
丸山さんは戦時下の様子などを振り返り、「樹齢100年に近いサクラは、ものを言わず全部を見てきた」としみじみ。150年以上の歴史がある母校が閉校する寂しさと桜並木の存続を願う気持ちを語り、「サクラが児童の教育にも生かされたのは誇れること。これらの写真が歴史を積み重ねる難しさを感じ、昔を思い出すよすがであってほしい」と話す。
午前10時~午後5時(23日は3時)。
同校の桜並木は18日から見頃の間、夜間のライトアップが行われている。