
塩尻市贄川地区の休耕地を活用し、県の「信州の伝統野菜」に認定されている「羽淵(はぶち)キウリ」を希望者に栽培してもらおうという取り組みが始まる。住民らでつくる「贄川駅前公園の会」と、羽淵キウリを栽培する「楢川地域おこし農家組合」が連携して企画。畑を無料で貸し、栽培講習会や収穫祭を開き、地区を訪れる人を増やしたい考えだ。
4月25日まで希望者を募った後、農家組合が羽淵キウリの種か苗を無償で配布。5月中旬に定植し、SNSで成育状況などを発信する。
栽培する野菜は羽淵キウリのほか、同じ信州の伝統野菜でもある木曽地域の赤カブを薦めるが、キャベツや白菜などでもよい。収穫した野菜は持ち帰り、羽淵キウリや木曽の赤カブは、県農村生活マイスターによる料理講習会を計画する。
羽淵キウリは同市唯一の信州の伝統野菜だが、栽培者が減少。農家組合が借りる贄川宿近くの12アールの畑にも休耕部分があり、活用策を考えていた。「(羽淵キウリの)良さを知ってもらい、10年先も残したい」と農家組合の橋戸勝さん(78)。
一昨年に発足した公園の会は、JR贄川駅前の美化やコミュニティースペース・関所亭の活用などに取り組み、昨年は長らく閉まっていた関所亭内の飲食店が再開。店主の江口利奈さん(25)は「(羽淵キウリを)食材として活用できたら」とし、限定メニューで「羽淵御膳」を提供する構想もあるという。
「皆でにこにこと活動し、地区に来てくれる人が増えればうれしい」と公園の会の盛田博子会長(70)。栽培の応募や問い合わせは盛田会長℡080・2331・1582