
夢を求めて「決断の春」
「氷上の格闘技」アイスホッケーで昨季、中学生と小学生の県選抜チームでそれぞれ主将を務めた高野有吾さん(15、塩尻市北小野)と岡部煌祐さん(12、安曇野市穂高)。ともに岡谷市が拠点のクラブ「やまびこバスターズ」で4歳から競技を続け、全国大会でも活躍した2人が今春、次のステージへ歩み出した。
11年の選手生活に区切り
高野さんは今月、松本県ケ丘高校(松本市)に入学した。昨年度のU―16(16歳以下)日本代表にも選ばれた逸材だが、高校進学と同時に11年間の選手生活に区切りを付けた。「夢や将来の仕事につながるような“何か”を見つけたいと考え、決断した」。その表情は晴れやかだ。
ディフェンダーとして将来を期待され、中学1年の時に日本選抜のメンバーとして本場カナダに遠征。ここでハイレベルなチームプレーを経験し、以降は試合中にチームメートに積極的に声をかけ、守備では相手選手に激しく体を当てて仲間を鼓舞するようになった。
「チームを強くするために、自分ができることを考え抜いた」と高野さん。技術だけでなく心にも焦点を当てたことで、選手として飛躍した。昨季はクラブと中学県選抜の両方で主将を任され、リンク外でのきちんとした礼儀や振る舞いを仲間に浸透させ、人を大切にするチームを目指した。県選抜は3月の全国大会で9位と健闘し、大きな自信を得た。
進路を決める際は、北海道の強豪校から誘いも受けて悩んだ。将来は日本代表に―という長年の目標があった一方で、頭を巡ったのは「高校・大学の7年間をどう使うのか」という問い。出した答えは「新しい世界に触れる」だった。
「『本気』がもたらすものの大きさを知っている。何がつかめるのか、わくわくしている」と高野さん。
U―16代表入り目指して
フォワードの岡部さんは、小柄だがスピード抜群の点取り屋。昨季はパックを奪われない技術も上達し、得点を重ねた。主将を務めた小学生県選抜は、3月の全国大会で強豪の青森県選抜や札幌市選抜と接戦を演じた。
今月、安曇野市穂高東中学校に進学。アイスホッケーでは、小学生は相手の体に当たりに行く行為(ボディーチェック)は禁止されているが、中学生になった今季からは、激しい当たりを受けることになる。「心と体の強化」がこれからのテーマだ。
目標は、先輩の高野さんが果たしたU―16代表入り。「1対1で相手を抜き去ることができれば、得点の可能性が高まる。まずはそこを突き詰めたい」と力を込める。