
池田町会染の北アルプス展望美術館は5月11日まで、「中信地域の古い焼き物展」を開いている。コレクターの所蔵品がメイン。地元・池田町の相道寺(古窯)焼をはじめ、松本市の浅間焼、塩尻市の洗馬焼、大町市の大塩焼など、江戸時代中期~大正時代に栄えた7カ所の計77点を展示している。
8割近くは松本市の自営業、新井弘人さんの収集品。新井さんは30代だった40年ほど前、洗馬焼の作品を見て、古い窯が生み出した「味」に魅了されたという。以来、県内の古窯の品を集めてきた。今回はその中から中信地域の窯の作品を紹介。「古い窯の品は、時折見てもらわないと、存在を忘れられてしまう」と新井さん。
洗馬焼は1857(安政4)年から現在の塩尻市洗馬で生産された焼き物の総称。明治初期の東筑摩郡誌には県内外に大量に出荷されたことが記されている。会場には、ふた付きの片口や大皿、大かめなど28点が並ぶ。
相道寺焼は12点。江戸時代中期に始まった。県内で2番目に古い窯とされ、明治初頭まで続いた。同館学芸員の倉科智幸さんは「展示品の茶つぼは、松本藩への献上品ではないか」と推測する。
信楽焼(滋賀県)の流れをくむ奥田信斎(しんさい)が塩尻で始めた信斎焼は、釉薬(ゆうやく)をたっぷりかけた作品やしゃれた感じの素焼きのつぼ、牛の置物など多彩な作風で、10点が並ぶ。
午前9時~午後5時。5月5日以外の月曜と7日休館。一般500円、高大生350円。同館℡0261・62・6600