
縄文~江戸期の作品に接し現代の良さ「再認識」
縄文~江戸期の優れた工芸品に、現代工芸に見られる美意識や技法の原点があることを伝えようという展覧会が5月24、25日、松本市の「池上百竹亭」(丸の内)で開かれる。あがたの森公園が会場の「クラフトフェアまつもと」と同時期の開催。展覧会主催者は「古い工芸品を理解すれば現代の品の良さを再認識できる。合わせて見てほしい」と話している。
展覧会名は「工藝(げい)の連続性」。縄文土器や須恵器、古瀬戸茶碗、古備前徳利、江戸ガラスなど、陶磁器を中心に明治期より前の工芸品約50点が並ぶ予定。
古美術品収集家でもある信州大附属病院の嘉嶋(かしま)勇一郎医師(49)が主催する。嘉嶋さんはかねて「現代の工芸品は古い工芸品を土台にして生まれた。脈々とした連続性がある。それを踏まえて現代の工芸品を見るべきだ」と考えていた。賛同した市内外の収集家らが所蔵品を持ち寄り、本展開催が実現した。
嘉嶋さんは「展示品はどれも重要文化財級の逸品」とも。その一つが、縄文人が煮炊きに使ったとされる大つぼ。都内で発掘された実物の土器で、側面には崇拝対象の蛇をモチーフにしたと思われる曲線が、リズミカルに彫られている。
嘉嶋さんは「縄文の工人は、つぼという日常生活用具を製作しながら、当時の人間の精神性や美意識を表した。その姿勢はいろいろな工芸分野で受け継がれ、改良と洗練を重ねながら現代に『用の美』として息づいた。連続性を踏まえて新旧の工芸品に接すると、新鮮な発見と感動に出合えるはず」と語る。
「工芸品は美術品でない」と、間近で鑑賞できるよう、ガラスケースに入れず展示する。24日午後2時から、草間彌生さんの「南瓜」の屋外展示で有名な瀬戸内海「ベネッセアートサイト直島」の企画運営に携わった、秋元雄史・東京芸術大名誉教授が講演。24、25両日の午前11時と午後2時から、嘉嶋さんや展示品所蔵者らによる作品解説がある。
入場料500円。百竹亭TEL0263・32・0141