
大町市の小学校再編に伴い本年度末で閉校する大町西小学校のサクラの木の下で4月18日、最後の「お花見昼食会」が開かれた。270人余の全校児童の他、今年は保護者や地域住民らも参加。児童や地域を長年見守り続けたソメイヨシノの花を眺めながら弁当を広げ、思い出を胸に刻んだ。
児童は、学年の垣根を越えた「縦割り班」ごとに校庭周囲のサクラの木の下に座り、保護者と共に持参した弁当を味わった。6年生の北村柊真さん(11)は「毎年花が咲くと、うれしかった。閉校はさみしいが、サクラの木はこれからも残ってほしい」。母の春香さんは「お花見は久々で、外で食べると気持ちがいい」と話した。
同校敷地内には100本を超えるサクラが植わり、中には現在地に校舎が移転した翌年の昭和6(1931)年に、地元の北原青年会が植えた古木も。地元ではサクラの名所として知られ、90年以上にわたり親しまれてきた。
例年、花の見頃の時季に児童が木の下で給食を食べる行事を続けてきたが、閉校を控えた今年は、保護者や地域の人たちにも声をかけた。
同校の元校長で「大町西小桜の木を守る会」会員の吉澤清さん(64、池田町会染)は「在任時に満開のサクラ並木でうなるようなハチの羽音を聞き、不思議な感覚になった」と回想。卒業生で同小に2年生の子どもが通う平林基幸さん(40、同市大町)は「サクラの木に登って先生に怒られた思い出がある。また来年も花を見たい。切るなどせず残してほしい」と話した。