
ハンチングがトレードマークの83歳のシンガー・ソングライター、丸山俊治さん(松本市寿台6)。今でもギターを抱え、ライブ活動をしている。これまでに作った作品は、約70曲。人前で楽器を演奏し、歌うことが元気の秘訣(ひけつ)という。
山へ登ろうぜおじさん達(たち)よおばさん達と一緒に登れば元気がでるよぐちゃぐちゃ嫁の悪口に可愛(かわい)い孫の自慢にと熊もスタコラ逃げ出すおしゃべり登山
ライブでのオープニングの定番曲「おじさん達よ」の一節だ。「おじさん、頑張れよ。おばさんに負けるな」という思いを込め、自分自身もこの曲で鼓舞しているという。
聞きやすいメロディーと遊び心のあるユニークな歌詞で、聞く人の心をぐっとつかむのが、丸山さんの作品の特長だ。
若い頃からギターを弾くなど、音楽に親しんできた。20代でフォークソングのバンドを組み、独学で始めたウッドベースを担当。30代半ばでこれも独学でピアノを始めた。ギターを弾いていた影響で、音符ではなく、コード(和音)を頼りに弾いている。
55歳で退職し、山スキーと登山にはまった。62歳から、ピアノの腕前を生かし、歌声喫茶で伴奏を担当した。
シンガー・ソングライターへの「転身」は66歳のとき。辰野町のライブハウスで偶然聞いた演奏に衝撃を受けた。「身近なこと、自分の今の気持ちを歌にして表現している」。既存の曲を演奏してきた丸山さんにとっては新鮮な驚きだった。
「自分の思いを音と詞にのせたい」。しかし、作詞作曲の経験はなく、ゼロからのスタート。自己流の曲の作り方は、一つのモチーフを「サビ」にし、その前後に詞と曲を付けて少しずつ膨らませて仕上げる。模索して初めて作った曲は「山スキーの唄」。「自分の曲を人前で歌うと、わくわくした」。シンガー・ソングライターの醍醐味(だいごみ)を実感した。
現在は、ギターを抱え月に1、2回、公民館などでライブを行い、2カ所の歌声喫茶に月に4回出演。松本市の中山公民館の「歌づくり同好会」にも入り、作詞、作曲をするなど、「売れっ子ミュージシャン」は忙しい。
人前で歌ったり、楽曲を制作したりするのが元気の秘訣といい「心にも体にも健康的」と丸山さん。70歳の時に11曲入りのアルバム「70歳になったのだ」を制作。80歳の時には「80歳になりました」という曲を作った。次は90歳。「作る曲は決めているよ」と、目を輝かせて公表したタイトルは「90歳になっちゃった」。7年後が楽しみだ。
きょう午前10時から、安曇野市穂高有明の「cafe Kissaco(キッサコ)」のスマイルサロンでライブを開催。オリジナルを中心に、春らしい曲を披露する。入場料100円。同店TEL0263・83・7177