【ガンズリポート】収益増やしサッカーに投資を―健康・教育・農業分野で新事業

松本山雅FCの運営会社は4月、活動を定める定款を変更し、新たな事業として健康、教育、農業の分野を加えた。どれもサッカーには直接関わらない事業だが、サッカー以外で収益を上げることがチームの強化やクラブの成長につながるとし、会社の目的として取り組んでいく。

人的資源 地域で活用

新事業はいずれも、これまで行ってきた事業の延長。最たるものは農業分野で、2018年から地元産品種の青大豆「あやみどり」を栽培し、食品に加工、販売している。
ホームタウン活動の一環として遊休農地を活用してきたが、改めて会社の目的に位置づけ、「地域農業の担い手不足の解消に寄与できる領域を検討していく」としている。
人的資源を社外で活用するのが健康分野。選手のコンディションを整えてきた手腕を、整体などの治療院に生かそうと目算を立てた。
クラブ公式X(旧ツイッター)でも、トップチームや育成組織の元トレーナーのスタッフらが、地元の民間施設で研修している様子を報告。技術習得はスケジュール通りにいかないとしつつ、1年以内に自前の治療院を開きたいとしている。

子どもと接点増 塾経営など探る

教育分野は、学習塾やカルチャー教室の経営を視野に入れる。現在、中学部活動の地域移行に携わっており、子ども年代とは今後、育成組織のほかに接点が増えると見込む。具体的な計画はないが、塾経営などの可能性を探っていくという。
これらの事業を定款の「目的」の項目に加えることが、4月23日の株主総会に諮られた。株主からは「新事業で生まれる利益を、サッカーに回すのは理解できる」といった意見が出たという。3期連続の赤字となった決算とともに、議案通りに承認された。
小澤修一社長は総会後の報道陣の取材に、「チームを強くするため、Jリーグで昇格していくために、どうやってお金を稼いでサッカーに投資するかが大事だと思っている」と説明。
横関浩一執行責任者も、サッカー以外の事業について「地域の課題解決に貢献したい」と意義を語る一方、「親会社を持たない地方クラブがサッカーだけにこだわり、勝ち続けるのは資金的に難しい」と、収益増への切迫感をにじませた。