
長野戦2季ぶりリーグ白星はおあずけ
14日夜にサンプロアルウィンで行われたJ3第5節代替のAC長野パルセイロ戦。松本山雅FCは内容で強さを示したが、勝ちきれず2‐2の引き分けに終わった。0‐1で迎えた後半の序盤、立て続けに得点して勝ち越し、その後も猛攻を仕掛けたが追加点を奪えず、終盤に失点。リーグ戦の「信州ダービー」で2季ぶりの白星は持ち越しとなった。
強さ示すも決定力に課題
山雅は前半は劣勢だった。自陣からパスをつなごうとするが、長野の圧力にミスを重ねた。
だが後半、見事に立て直した。相手の背後などスペースをシンプルに狙うボールを織り交ぜ、「ハーフタイムの修正を狙い通りにやってくれた」と早川知伸監督。スムーズに対応できるのはチームの成熟があってこそ。安永玲央は「パフォーマンスは今季トップクラスに良かった」と充実感をにじませた。
逆転し、なお攻めた。「流れに乗った山雅は強いなと思った」と長野の藤本主税監督も認めたほど。後半だけでシュート11本、打った選手も滝裕太、山本康裕、樋口大輝ら8人に上り、決定機の連続にサポーターのボルテージも上がりっぱなし。だが3度目の大歓声は起こらなかった。
同点のシュートを決め、相手のオウンゴールを誘うFKを蹴った菊井悠介も「3、4、5点と取れるゲームだった」と悔しがった。「足りない部分は自分自身でつかんでいかなければいけない」と早川監督。チーム力を示しただけに、個人の決定力不足が際立った。
一時とはいえ、今季初めて先行された試合をひっくり返した。だが、初の1試合3得点は逃した。1桁順位、そしてJ2昇格圏へ浮上するために、克服が必須の課題だ。

1万人届かずも観客今季2番目 特別なプレゼントも
この日の試合は、雪で中止になった3月16日の代替開催。観客が訪れにくい平日夜だったが、宿敵との信州ダービーに後押しを‐と山雅の運営会社は1万人の集客を目指した。
節目の入場者に、選手サイン入りのダービー特製Tシャツをプレゼント。千人目、5千人目…とスタッフが手渡した。
7千人目は会社員の中山昌也さん(27)。今年、転勤で中野市から松本市に。サポーター歴10年以上という同僚の上條有輝さん(23)に誘われ、仕事を定時に終わらせ駆け付けた。「『シーオフ』(得点時に歌われるチャント)を生で聞きたい。Tシャツはびっくり。これからちゃんとしたサポーターになります」と笑顔だった。
観客数は1万人に届かなかったが、9343人は今季2番目。今季リーグ戦初出場だったMF滝は「久しぶりに帰ってきて(雰囲気に)すごく感動した。最高の時間だった」と大声援に感謝した。