
安曇野市穂高の碌山美術館は6月22日まで、春季企画展「智恵子紙絵」を敷地内の杜(もり)江(え)館で開いている。碌山の友人で詩人、彫刻家の高村光太郎(1883~1956年)の妻・智恵子(1886~1938年)が制作した「紙絵」を3期に分けて展示。智恵子にまつわる光太郎の詩の原稿も並べている。
洋画家だった智恵子は40代で精神を病み、後年入院した病室で、光太郎が持参した千代紙や色紙(いろがみ)をマニュキアばさみで切り抜いて別の紙に貼る「紙絵」を熱心に制作。対象は花や食膳の皿の中身などで、その数は千数百点に及んだという。
今回は個人所有の20点ほどを借りて展示。現物は経年劣化で退色が見られるため、身内が撮影した写真も添えた。撮影年は作品によって違うが、どれも現物より色がはっきりしている。
学芸員の武井敏さんは「智恵子の紙絵は小作品なのに存在感がある。海外でも評価されるのではと思うが、残念ながら年を追うごとに退色していく。この機会に見てほしい」。
現在は2期目の展示で「器に魚」「シクラメン」など。6月初めからは「アジサイ」他を飾る。
光太郎の原稿は、詩集「智恵子抄」に収録された「あどけない話」や「レモン哀歌」の他、碌山の死を悼んで書いた詩「荻原守衛」などが並ぶ。
午前9時~午後5時10分。一般900円、高校生300円、小中学生150円。同館TEL0263・82・2094