
今しかない親子の時間大切に
音楽を通して子どもの感性や表現力を伸ばす教育法が、リトミックだ。ウクレレが奏でるハワイアンな音楽に合わせ、表現遊びをしたり、体を動かしたりするのが、ハワイアンリトミック。安曇野市に4月、「おやこハワイアンリトミック」が誕生した。おんがくひろばMahalo(マハロ)主宰の堀内友香さん(38、明科中川手)が講師だ。
体調を崩し、3月で教員を辞めた。ただ、専攻していた音楽には関わり続けたかった。ハワイが好き。体調を見ながら自分のペースで仕事ができる―。ハワイアンリトミックがぴたりとはまった。
スマートフォンが普及し、リアルな交流が減りつつある現代。「今しかできない親子の触れ合いを大切にしたい。友達づくりにもつなげたい」と張り切る。
衣装着て楽しく交流良い刺激に
14日、安曇野市の明科公民館の和室。おやこハワイアンリトミックの教室が開かれていた。3カ月~1歳の乳児と母親5組が参加。子どもの手には小さなマラカスが握られている。おんがくひろばMahaloの講師・堀内友香さんがウクレレで、電車の歌を歌う。この日のテーマは「こいのぼり」と「しゃぼん玉」。テーマに合わせた駅(こいのぼり駅など)に着くと、子どもたちは元気にマラカスを鳴らす。
ハワイアンドレスやスカートなどを身にまとい、ハワイの雰囲気満点。他にリトミック用のスカーフを使ったり、タンバリンを鳴らしたりと、みんなにこにこしながら体を動かしている。
薄隅はるかさん(36、松本市井川城)と娘のなつはちゃん(9カ月)は「優しい音楽にリラックスできた。道具もたくさんあり、飽きずに取り組めた」。土屋優さん(30、安曇野市穂高柏原)は息子の朝陽(あさひ)ちゃん(3カ月)と参加。「いろいろな人と触れ合えて刺激になった。ウクレレやタンバリンなども楽しんだ」などと話した。
自分のペースで子育て支えたい
堀内さんは、小中学校、特別支援学校で教員を務めたが、体調を崩し、今年3月で退職。無理のないペースで、音楽にも子どもにも関われる仕事をと探す中、ハワイアンリトミックと出合い、ふれあいリトミック協会(大阪府)の認定講師となった。もともとハワイが好きだったことも後押しになったという。
ハワイの音楽は、ゆったりとして癒やされる。ウクレレの音色も穏やかだ。「楽器を持って移動できて、子どもたちが簡単に触れられることも、大きな魅力」と堀内さん。ハワイアンリトミックは親子、友達同士、講師らとの交流を大切にし、楽器や音楽の刺激を通して表現力、社会性、自己肯定感などを育てる。
スマートフォンに夢中になって子どもと会話をしない親、スマートフォンで遊ぶ子どを見かける。「乳幼児期は、親子が一緒に濃密な時間を過ごせる貴重な時期」と堀内さん。その一助になればと願う。
核家族化が進み子育て中の母親が孤立し、「ママ友はできるのか」「育児について話せる場がない」といった不安や悩みを抱えるケースは多い。解決する場所にもなればと期待する。
ふれあいリトミック協会によると現在、認定講師は全国に約300人。県内は4人にとどまる。堀内さんは「現在は単発開催。気楽に参加して」と話している。
0~1歳のベビーコース、2~3歳のすくすくコース、4~6歳のキッズコースがある。親子ペア1500円から。開催日程などはLINE公式から。