
地元産メルロの良さ凝縮
新緑がまぶしい、塩尻市片丘の住宅と田畑が混在する一角に立つDomaineKOSEI(ドメーヌコーセイ)。社長で、醸造最高責任者の味村興成さん(67)は長年、大手酒造メーカーのワイン醸造責任者を務めた。地元産の「メルロ」にこだわり、そのブドウだけで醸すワインは、素材の良さを最大限に引き出しているという。
現在、同ワイナリーは、片丘地区の13カ所に、合計約10ヘクタールのほ場を借り、約5ヘクタールでメルロを栽培。各ほ場にはアルファベットのA~LとWを振って目印とし、名前が13のアルファベットが頭文字のバラも栽培している。
バラが病気の「センサー役」になるとされているからで、「科学的根拠はないがフランスなどではよくやっていること」と説明。「きれいなバラが咲く所には、いいブドウが育つ。うちのような新興ワイナリーには、こんなストーリーがあってもいいかなと思って」と笑顔を見せる。
こうして育てたメルロの出来栄えは「最高」といい、それだけを使って醸したワインは、香りが華やかで、凝縮感があり、フラッグシップ商品は、長期熟成が可能という。
山口県岩国市出身。大学進学に際し、ドイツ語の大学教授だった叔父からワイン醸造を勧められ、山梨大に進み勉強。卒業後は酒造メーカーのメルシャンに就職。醸造責任者を務めた。
「自分のワインを造る」と決意し、2015年に同社を早期退職。「国内で一番いい赤を造るなら『塩尻でメルロ』という答えはすぐに出た。ほかの選択肢はなかった」と、16年から栽培を始めた。
「飲みやすく、いつの間にかボトルが空になっていたというワインを造りたい」。片丘から「本格派ワイン」を世に送り出す。
【沿革】
ドメーヌ・コーセイ 2016年から塩尻市片丘でブドウ栽培開始。19年、ワイナリー開業。現在、約2万本のメルロを栽培し、赤とロゼワインを年間約3万本出荷。
【味村さんおすすめこの1本】
メルロロゼ2024無濾過 極辛口(750ミリリットル2970円)
【相性のいい料理】
サーモンを使った料理や山菜料理、山賊焼きなど
【連絡先】
ドメーヌ・コーセTEL0263・50・7922