
MGプレスの前身の一つ、松本平タウン情報(創刊時は「まつもとタウン情報」)の創刊から、きょうで30周年を迎えました。中信地方の信濃毎日新聞購読者に向け、身近な情報をたっぷり届けようと始まったタブロイド紙の配布は、紙名を変えながらも途切れることなく、今も続いています。
支えてくれた読者の皆さまに感謝を込めて、これまでの歩みを振り返りながら、未来のMGプレスの姿を考える機会にもしたいと、30周年記念特集を作りました。これからも中信地方の発展を願い、情報を発信します。
俳人の佐藤文子さんは、タウン情報創刊と同時に始まったインタビュー記事「松本ひと模様」を執筆、1996年10月からは地元ゆかりの著名人の半生を聞き書きした人気企画「私の半生」を担当。タウン情報終刊の2018年3月まで、120人以上取り上げた。文芸俳句選者も務め、今も続ける。
執筆のきっかけは、当時の信濃毎日新聞松本本社役員に誘われて。地域誌などに書いていたこともあり、「抵抗はなかった」という。
苦労したのは「私の半生」。インタビュー記事は以前から書いていたが、1人につき十数回という長さは経験がなかった。「担当者に鍛えられ、全部書き直させられたこともあったが、その後に役立っている」と振り返る。
心がけたのは、「深く入りすぎないこと」。交流があった作家の故・上坂冬子さんに言われた言葉だ。「取材相手の言葉をそのまま受け止めるのではなく、読者側に立ち、本質を見極めるよう努めた」
自身にとって今年は、俳句を始めて60年の節目。松本で暮らして53年になる。その多くの期間、本紙執筆に携わった。「俳句と取材を通して多くの人と知り合い、支えられてきた。これからもできた縁を大切にしていきたい」と話す。
さとう・ふみこ 三重県生まれ、北九州市育ち。大阪市立大院中退。松本芸術文化協会会長、信濃俳句通信社代表・主宰。松本市横田在住。