
松本市寿地区の福祉施設が、約半年にわたって障がい福祉のことを学ぶ連続講座を毎年開いている。誰でも参加できて、当事者の中に入って交流することが学びの核になる。名前は「共幸(ともさち)講座」。支えられる人、支える人、見守る人みんなが幸せでありたいという思いが込められている。
主催は、社会福祉法人アルプス福祉会(寿豊丘)の二つの事業所「コムハウス」「ねくすと」と、NPO法人ハートラインまつもと(寿北7)。2019年に始まり、20年はコロナ禍でできなかったが、21年に再開した。
大きな目的は、「障がいのことを地域の一般の人に知ってもらう」こと。それに沿い、5回目となった昨年の講座では、新たに二つのことを始めた。それは福祉を受ける当事者が「話す回」を設けたことと、会場を寿地区の外に広げたことだ。
当事者が話す回は、体や心に重い障がいのある施設利用者が普段感じていることをじかに話す。
昨年は、例えば1人の女性が「ユニクロはいい」と話した。理由は、商品ではなく、他の店に比べて試着室や通路が広いこと。足が不自由な彼女にとって、ぶつかったり転んだりするリスクが減ることは重要な評価ポイントだった。
初めて話すことを初めて会う人に聞いてもらった利用者たちは、「すっきりした」「うれしかった」などと喜んだという。
聞き手の一般の参加者は、障がい者の自由な語りを聞いてその日常生活を垣間見ることになった。
実は、主に施設の活動でしか利用者と接していないスタッフにとっても同じような意義があったという。「そうだったんだという発見があった」とコムハウス管理者の百瀬薫さん。利用者の要望、困り事を多角的に知る機会になった。
昨年から、新たに会場に加えたのは、芳野の複合施設「なんなんひろば」。市中心部の南松本駅に近い場所にしたのは、松本地域全体に知る機会を広げたいという理由から。「とにかく障がいのことを伝えたい」とコムハウス主任支援員の山口祐希さんは言う。
今年の開催は7~11月の月1回=表。1回のみの参加も可。無料。申し込みは、各回2週間前までにコムハウTEL0263・85・2234