
19年間のプロ選手生活を振り返ると、ずっとけがと付き合っていた。太ももの肉離れは、左右の脚で合わせて10回はしている。
徳島ヴォルティスにいた時に、選手を辞めようと思ったことがある。検査では治ったはずなのに、全力で走れない時期が続いた。多分、無意識に再発を恐れていたのだと思う。
プレー中のけがを非難する人はいない。でも、どこか負い目を感じてしまう。期待に応えられないのが悔しく、気に病んでしまう。
「またけがか。復帰を待ってるよ」という励ましも、「また」の一言に心をえぐられる感じがする時もある。けがをした方も「また…」と残念に思っているから。それでも最終的には、気にかけてもらえることが、とてもありがたかった。
アカデミーで指導していて、けがをした子の気持ちは分かる。打撲とか捻挫とか、けがの程度はそれぞれだけど、休まなくてはならなくなったときの気持ち。「あの時、ああしておけば」とふさぎ込み、周囲が疎ましくさえなる。
そんな子にどのタイミングで、どんな声をかければいいか。経験の引き出しは他の人よりある。この経験を生かして、たくさんの選手たちの支えになっていきたいと思う。(アカデミーロールモデルコーチ)