
朝日村の朝日美術館は、学芸員の調査研究を記録した「研究紀要」を初めて発行した。昨年度の展覧会「こっぱ人形ってなぁに?」と「上條俊介コレクション展」の開催に当たり調査した内容を掲載した。青木啓子学芸員は「調査で分かったことを地元の人に知ってもらい、新たな情報を寄せてもらう機会になれば」とする。
「こっぱ人形|」開催前に村内の農民美術を調査。知っている人もおらず記録もなかったが、上田市立美術館の協力で「朝日農美工藝組合」があったことが判明した。会期中や終了後も調査を続け、「白樺傾斜切(しらかばけいしゃぎり)柱掛(はしらかけ)」などの記述が見つかったという。
青木さんは「展覧会を機に、周囲の協力から村内での活動の一端が分かった。記録を残し伝えていくためにも、自宅に実物がある人や情報がある人は教えてほしい」と話す。
村出身の彫刻家で、同館が記念館にもなっている上條俊介(1899~1980年)については、同館が2008年に発行した「線と彫刻|上條俊介の生涯」に基づき関係者に聞き取りをし、新たに分かったことなどを記載した。
青木さんは「第1号の研究紀要で拙いが、これを機に興味を持ってもらい、アップデートにつながれば」と話している。
A4判20ページ。同館は改修工事で休館中だが、村図書館で閲覧できる。問い合わせは村公民館TEL0263・99・2004