
塩尻市の江口利奈さん(26、木曽平沢)は、同市のJR贄川駅前にある地域コミュニティー施設「関所亭」を運営して2年目。以前は飲食店だったが、十数年前から閉まっていた建物を、飲食店と住民の交流スペースとして活用し、地域の活性化に一役買いたいと奮闘している。
贄川の魅力広げ活性化を
6月12~14日に関所亭で開かれた、木曽の旬の菓子「朴葉(ほおば)巻き」作りの講座には、計20人余が参加。地元の県農村生活マイスター橋戸京子さん(72、贄川)に教わった参加者は「皆で作り、出来たてを食べられて楽しい」などと話し、和やかな雰囲気。季節を感じながら住民らが交流する場にと、江口さんが年10回ほど催すワークショップの一つだ。
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江口さんは福岡県出身。大学で管理栄養士の資格を取ったが卒業後の生き方に悩み、兄の紹介で贄川のシェアハウス「宿場noie坂勘(さかかん)」を知り、2022年10月に入居した。
個性的で多様な働き方や生き方をしている住人らに刺激を受ける中、地域の活性化に取り組む坂勘オーナーの辰巳和生さん(39)が、関所亭を所有する贄川区から相談を受け、坂勘の住人らが活用プロジェクトを開始。江口さんが運営を任され、24年1月にオープンした。
その前年に発足した、地域住民らでつくる「贄川駅前公園の会」と協力し、寄せ植えや子ども対象のピザ作りのワークショップなど、交流の場を設けた。朴葉巻き講座の講師で「駅前―」の会員でもある橋戸さんは「『関所亭に明かりがついているとうれしい』と多くの人に言われる。運営してくれる江口さんを尊敬し、住民として協力したい」。
「1人で何も分からないままスタートし不安だったが、地域の皆さんのおかげで1年半続けて来られた」と江口さん。自身は生活を安定させるため、4月から週3日は管理栄養士として木曽郡内の施設に勤めるほか、8月から同市のNPO法人MEGURUが企画・運営する地域の課題解決や魅力再発見のためのセミナーにも参加し、スキルを高める考えだ。
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「贄川の魅力は人。関所亭でいろいろな人がつながり、ここに住んで良かった、ここに移住したい―と思う人が増えたらうれしい」と江口さん。住民の笑顔と助けを原動力に、一歩ずつ進んでいく。
飲食の営業は木~土曜の午後6~9時。地元の食材などで作る総菜やドライカレー、酒類などを提供するほか、昼間は飲食店の開業を目指す人に店を貸す試みも。催しなどの案内、問い合わせはインスタグラムから。