最新研究の「縄文農耕論」 塩尻の平出博物館で土曜サロン

塩尻市立平出博物館(宗賀)は6月14日、考古学や文化を学ぶ「土曜サロン」を開いた。本年度は「縄文人と自然物の資源化」をテーマに3回の講座を予定。初回は明治大研究・知財戦略機構研究推進員の中沢道彦さん(59、南箕輪村)が「最新研究からみた縄文農耕論」と題して話し、市内外の60人が聞いた。
縄文人は狩猟と採集、漁労で食料を得たという定説に対し、「縄文農耕論」は中部高地で農耕が行われていたという、諏訪市出身の考古学者・藤森栄一(1911~73年)が立てた仮説。
中沢さんは、縄文期に農耕や栽培があったとする説に慎重な立場からクルミやクリ、シソ、マメなど遺跡から出土した植物のデータの評価を中心に、最新研究の成果を踏まえて発表した=写真。
一例として挙げたのが、福井県の遺跡から出土した約1万2600年前のウルシの木片。ウルシは人が手をかけないと育たないため、「縄文人が木を管理したことは間違いないが、植栽したものか不明。まさしく縄文農耕論の問題」とした。
同市では、片丘北熊井の舅(しゅうと)屋敷遺跡で出土した縄文前期中ごろ~末ごろの土器に漆が塗られていた例があり、分析の結果が11月の同サロンで発表されるという。