東京の写真家が朝日村で滞在制作 作品集を自主出版へ

朝日村針尾のギャラリー「ブルーハウススタジオ」で、昨年4月から同所と東京を往復して、アーティスト・インレジデンス(地域滞在制作)に取り組んできた写真家の高橋侑也さん(29、東京都中野区)の制作が形になりつつある。ZINE(ジン)と呼ばれる自主制作出版の写真集を50部限定で制作中。7月7~31日は、同スタジオで写真展「Aqueduct─朝日村における用水の状態」を開く。
テーマを決めずに同所を訪れ、村を流れる鎖川のせせらぎに感動して「水」の撮影を始めた高橋さん。当初は里山の水を意識していたが、自転車で村内を巡って地域の人と交流しながら写真を撮っていくうちに、用水路や蛇口を通り、生活の中に水が流れ込んでいることに気付いて意識は「水利用」に変わった。
滞在中に同スタジオで個展を開くアーティストらと話をしたり展示を見たりして刺激も受けながら、1年間かけて35ミリフィルム50本分、1750コマを撮影し、そのうち千枚ほどを手焼きで現像した。「動きを止めることで、肉眼で見るのとは違う水の不思議な姿に気付いた」という。
当初は印刷を頼もうと思っていた写真集は、試行錯誤しながら手作業で制作中。A5サイズで和とじの約30ページだが、縦版や横版、タイトルも含め、作りながら刻々と変化してきているという。
「都市的な生活も、山からの恵みの水が足元に届き、支えられている。それを身近に感じることができる場所に暮らす人たちと、その気付きを共有したい」と話している。
展示は平日正午~午後3時、土・日曜、祝日午前10時~午後5時、水曜定休。入場無料。ZINEは会場で購入できるが「喫茶店や独立系書店などで会期中に置いてもらえればうれしい」と話している。高橋さんのインスタグラム