
山形村民ら有志でつくる「東日本大震災『山形村からできる支援』を考える会」と、村社会福祉協議会は6月14日、考える会が支援と交流を続ける岩手県山田町の関係者との交流シンポジウムを村保健福祉センターいちいの里で開いた。同町社協職員の阿部寛之さん、カキ漁師の福士清和さん、語り部ボランティアの立花正男さんが来訪。集まった72人に被災地の生の声を伝えた。
阿部さんはデータや写真を交え、避難所やボランティアセンターの活動や、支援の課題、現状などを説明。立花さんは津波を「3メートル」とした防災無線に、「5メートルや10メートルとしていれば助かった命はあったと思う」など実感を込めて話し、来場者は神妙な面持ちで耳を傾けていた。
同会は田村守康さん(65、上大池)を発起人に2015年発足。海産物などを取り寄せることで「村に居ながらにして被災地に思いを寄せ、支援ができる」とバーベキューを開き、その後も福士さんからカキを購入して頒布会を実施。収益を社協に義援金として届けている。
カキは評判を呼んで購入数は年々増加。物価高騰などから田村さんが値上げを促すも、福士さんは「販路がなくなり苦しかった時に助けてもらったから」と価格を維持しており、「今後もおいしいカキが育つよう、丹精して頑張りたい」と話した。
田村さんはほぼ毎年現地を訪れ、村内で視察報告会を行っている。23年には、多くの人に生の声を聞いてほしいとオンラインで現地の3人とつなぎ、今回初めて村での対面が実現した。
阿部さんは「支援を継続してくれている有志団体はここだけ。お世話になっている人たちと直接会えたことがうれしい。経験を伝えることが少しでも恩返しになれば」とし、田村さんは「多くの人が聞きに来てくれて良かった。少しでも風化を防ぐために活動していきたい」と話した。