【醸し人】#27 塩尻志学館高・南山羽夏(はな)さん

過程を知るのが面白い

塩尻市は全国有数のワイン産地。同市広丘高出の塩尻志学館高校は、授業でワイン醸造が学べる県内唯一の学校だ。80年以上の歴史があるワイン造りを目的に入学する生徒も少なくない。農業科学系列の講座「ワイン製造β(ベータ)」で学ぶ南山羽夏(3年)さんもその1人だ。
学校北側の33アールの畑でメルロー、コンコードなどのブドウを栽培。生徒は栽培から醸造、瓶詰めまでを担う。また海外や国内のワイナリー研修も行っている。2年時からワイン醸造を学んでいる南山さんは「特に夏場のブドウの世話が大変だが、ワインになっていく過程を知るのが面白い」と充実した表情だ。
担当の田中滋康教諭は「ワインは造り手によって味が異なる。毎年違う生徒が造るため、味の違いも魅力です」と語る。
同校はワインの販売免許がなく、完成したワインは年に1度、7月の文化祭で「譲渡会」という形式で販売。「KIKYOワイン」というブランドで、国産ワインコンクールで何度も受賞するほど評価は高いが、赤は千円、白とロゼは900円という破格値で販売するため毎年、完売する人気ぶり。今年の文化祭(5、6日)では赤千本、白100~300本、ロゼ600本を2日に分けて出す予定だ。
両親が酒が好きなため、自然と酒類に興味を持ち、同校を進学先に決めた南山さん。醸造については学べるが、実際に飲むことができない悔しさを実感。「ワインが飲めない人にも楽しんでほしい」と、ノンアルコールタイプの研究も行い、年内には完成するという。
田中教諭は「ワイン造りに興味を持つ子どもが1人でも多くなれば」と、生徒たちを見守っている。

【沿革】
塩尻志学館高のワイン学習 1928年、当時の東筑摩農学校時代に、「農産製造実習」の一環として始めたという記録が残る。43年に果実酒類製造免許を取得。現在まで生徒たちによるワイン醸造が続けられている。

【南山さんおすすめこの1本】
塩尻KIKYOワイン・赤(720ミリリットル1000円)

【相性のいい料理】
ステーキや焼き肉などの肉料理
ニューヨークチーズケーキ

【連絡先】
塩尻志学館高校 TEL0263・52・0015